認知症の父とひとつ屋根の下で暮らす

連載「母への詫び状」第十回〉

 実家で親を介護する者にとって、正月に帰省してくる身内の存在というのは、たいていストレスになる場合が多い。

 介護人たちのツイッターなどを読んでいると、それをしみじみと、痛切に感じる。

「何も実態を知らないクセに、自分が帰ってきたときだけ余計な口を出さないで!」

 そんな怒り、あきれ、愚痴の類が、正月過ぎのカイガーマン&カイガーウーマンのブログやツイッターに散見されたからだ。

 面と向かって口に出すのを我慢してSNSにぶつけたのか、正面から衝突してしまったのか、定かではないが、気持ちは理解できる。いくら身内でも、外側から見ている人たちに介護の実情はわからない。

 しかし、そこはぐっとこらえて、やり過ごすしかないだろう。帰省組の親族も、良かれと思って意見を言っている。ただ、それがズレてしまうだけだ。

 うちの場合は特別に口出しをするやかましい身内はいなかったし、むしろこちら側が「急に帰ってきて介護を始めたくらいで、自分だけが親のことををわかっているような顔をするなよ。今まで両親をほったらかしにしてきたくせに」と言われかねない立場である。兄弟や親戚の意見は、ありがたく聞くフリくらいはしなくてはならない。

 
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