政宗さまに『会い』にいく。⑦

 仙台最終日も、良い天気に恵まれております。この日、最初の目的地は福島美術館。地下鉄の駅からすぐですが、宿から歩いても30分足らずなので、運動のつもりで歩きます。これが後で効いてくるのですが…。

 

 こちらの美術館も、震災の際には建物に大きなダメージを被ったために1年半にわたり補修工事による休館を余儀なくされておられました。復旧には全国から寄付が寄せられ、我が家も微々たる額ながら協力させていただいたものの、なかなか再開後に訪問することもできず、この日ようやく伺うことができたわけです。
 館内では、実業家の福島禎蔵氏のコレクションを中心とした、特に政宗さま関連の書状や遺品、美術品が多く展示されており、市博とはまた異なる趣きで、間近に、そしてじっくりと鑑賞を楽しむことができます。おすすめですよ。

 この度の訪問では、織田有楽斎の画と賛による掛け軸一幅が、非常に印象に残りました。茶杓ひとつの絵に、
「寒熱の地獄へ かよふ茶柄杓も
こころなければ くるしみもなし」
 冷たい水を汲み熱い湯をすくう柄杓も、心が無ければ苦しむこともない、という添え書き。
 織田信長の弟として本能寺の変から生き残り、「織田の源五(有楽斎の通称)は人ではないよ」と兄・信長と甥・信忠を見捨てて自分ひとり逃れたことを非難され、織田から豊臣への時代の流れに取り残された有楽斎の、「一切の感情を捨てて、茶湯のためだけに生き延びるのだ」という心の底の切なる叫びがそこにはっきりと見えています。
 シンプルな線で単純化され描かれた茶杓が、一層彼のすさまじい覚悟を表しているかの様でした。