仮想通貨取引所大手コインチェックから、約580億円相当のネムが不正に出金されたニュースが、世間を騒がせている。盗まれたネムはブロックチェーン上で追うことが可能だ。果たして取り戻せる可能性はあるのか。ブロックチェーン技術に精通し、『ブロックチェーン入門』の著者である、森川夢佑斗氏に解説いただいた。(前編:仮想通貨 「秘密鍵」は死んでもとられるな に続く後編)

■ホワイトハッカーが犯人に「カラーボール」を投げつけた

 

 ホワイトハッカーの方が、盗まれたネムに対して印をつけたそうです。

 これは、分かりやすく例えると、コンビニ強盗に防犯用のカラーボールを投げつけたようなものです。目立つので、監視ができる。場合によっては「犯罪者だ」ということで拒否ができる、ということです。

 この印をつける作業自体はさほど難しいものでありませんが、そのスピード感がホワイトハッカーの優秀さを印象づけましたね。

 ちなみに今回のネム盗難に対する策として「ハードフォーク」をしてハッキングに関する取引をなかったことにする手段もあり得ました。

 

「ハードフォーク」とは、ブロックチェーンのある時点まで遡って、今いるチェーンとは別のチェーンをそこから新たに始めることで、今あるチェーンをなかったことにするものです。SF作品などでよくある、過去に戻って未来を変えるイメージでしょうか。これは、ネムユーザーの多数の合意を得ることができれば可能でした。しかし、そのことで当然不利益を被る人もいます。今回コミュニティはそれを選ばなかったということです。

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