――そのオリンピックに出場して、記憶に残っていることはありますか?

 実は、ショートプログラムの曲が鳴りはじめてからの記憶が、まったくないんです。気を失っていたんじゃないかと思うぐらい、頭の中が真っ白になりました。曲が終わったと同時に、ハッと我に返ったんです。緊張感やプレッシャーが、自分の限界を超えていたんでしょうね。
 オリンピックという大舞台では、競技中に頭で考えているようではダメなんです。曲が鳴ったら無意識にカラダが動くレベルにまでしておかないと、到底太刀打ちできません。
 プログラムが終わった時は、本当にグッタリしましたよ。そのまま氷上に倒れ込みたかったぐらいですが、今思えばあの経験ができたことはとても良かったと思います。おそらくこれからの人生で、あれほどの緊張とプレッシャーを味わえることはないでしょうから。

〈明日の質問は……Q13 .「海外(カナダ)での練習経験は役に立ちましたか?」です。〉