いざ「がん」と診断されたら、頭が真っ白になってなにも考えられなくなる患者さんが多いと思います。そのような状況下で、短い診療時間を有意義に過ごすにはどうすればよいのでしょうか。放射線治療専門医として1万人以上のがん患者の治療にあたり、SBRT(体幹部定位放射線治療)の第一人者である武田篤也氏の著書『最新科学が進化させた 世界一やさしいがん治療』より、診察における医師とのコミュニケーションのコツを紹介します。

■なぜ説明を聞く際に家族がいるといいのか

 医師が大事な説明を行う場には、できる限り家族に同席してもらいましょう。自分の代わりにメモを取ってもらってもかまいません。「心配しなくても一人で大丈夫だ」などと強がらないことです。自分で想像している以上に気が動転していると思ったほうがいいでしょう。

 それに、患者さん本人が主治医に対して聞きにくいことでも、家族なら聞けることもあります。

 ただし、説明を聞くときに、中心となるキーパーソンを決めておくことが重要です。そして、患者さんとそのキーパーソンを中心に話を進めていくようにしてください。

 あるとき、高齢の父親の治療に際し、四〇〜五〇代の子どもが三人ついてきたことがありました。それぞれ働き盛りで「持論」に自信を持っている様子でした。しかし、考え方がぶつかってまとまらず、医師はまるで兄弟げんかの仲裁役のようでした。結局、日を改めて話し合うことになりました。

 こういうケースでは、本当に患者さんが聞いてもらいたいことが無視されがちです。前もって、キーパーソンを中心とした打ち合わせをしておくくらいでいいでしょう。

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