「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます。
〈今回は「睡眠負債」全3回。1/3〉

「自覚がない」のが睡眠負債の特徴

田中光さんが描くシュール4コマも必見!

トオル あーあ仕事集中できないなあ。なんか最近体がずっとだるいし、頭も働かないんだよね。

シズカ トオルくん、それひょっとしたらこないだTVでやってた「睡眠負債」かもよ。睡眠時間は足りてる?

トオル うん、夜遅目だけど6時間は寝てるよ。…ってか、なにその「睡眠負債」って。

シズカ 悪い睡眠の習慣が、どんどん体にダメージとして残ってしまうことなんだって。せっかくだから、脳科学の専門家に話を聞いてみない? 早稲田大学研究戦略センターの枝川義邦教授、詳しく教えてください! 先生、まず「睡眠負債」って「睡眠不足」とはどう違うんですか?

枝川 「睡眠負債」を抱えている状態というのは、十分な睡眠時間が確保できていなかったり、眠りの質が悪いということ。つまり基本的に「睡眠不足」と状態は一緒です。

トオル えっ同じなんですか? だったら僕は違うと思うんだけどなあ。6時間は寝れているし。

枝川 安心はできませんよ。なぜならトオルくんのように「自覚がない」のが睡眠負債を抱えた方の大きな特徴だからです。「負債」という言葉を考えてみてください。知らず知らずのうちに積み重なるイメージがありませんか? 会社の負債にしても、気づいた時には首が回らないくらい膨らんでいて一気に倒産してしまうでしょう。「睡眠負債」もこれと同じなんです。本人も気づかないくらいのわずかな睡眠不足が積み重なって、脳や体に対して深刻なダメージを与えてしまう。そしてある一線を超えるともう立ち戻れなくなってしまうのです。

トオル なんか急に怖くなってきた。それで会社が倒産だとすると人間の場合は…

枝川 ガンや認知症、糖尿病などにかかる危険性が高まると言われています。とくにガンと睡眠負債の関係はいま研究がすすんでいて、以前放送されたテレビ番組でも、シカゴ大学の研究が紹介されていたので観た人も多いのではないでしょうか。そこでは、ガン細胞を移植したマウスを、普通に睡眠をとるグループと、2週間「睡眠負債」の状態にしたグループにわけると、「睡眠負債」のマウスのがん細胞は、十分睡眠をとったマウスの2倍近くの大きさになったというのです。

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