日本酒の魅力のひとつは、繊細で複雑な味が楽しめるところにある。
その繊細さゆえに温度に敏感に反応し、
5℃違うだけで味わいが大きく変わる。
より美味しく飲むなら、好みの温度と特徴を知っておきたい。

「日本酒の飲み方には0℃から60℃ぐらいまでの
温度帯があります。一般的には温めるほどに香りが開き、
日本酒の要素であるアミノ酸をはじめ、
その他の酸味を感じやすくなるので、旨味が膨らんできます。
また、温度を高めるにつれアルコール度も強く感じます。
アルコールは刺激ですから、舌がピリピリと痛むような感覚を覚えます。
逆に冷やすことで、すっきりとシンプルになります。
香りが抑えられ、冷たくすればするほど、味が引き締まり、
辛口、ドライになります。アルコールを感じなくなるので、
飲みやすくなるのも特徴です」(トータル飲料コンサルタント・友田晶子さん)

日本酒の種類によっても、燗酒向き、冷酒向きがある。
「基本的にすべての日本酒に燗酒NGはありません。
その上で、より個性を楽しめる温度帯が推奨されています。
吟醸や生酒など、華やかでフルーティなタイプは冷やした方がおすすめ。
燗酒が好みなら、本醸造や純米、生酛、山廃など、
昔ながらの味の濃いタイプは、ぬる燗や熱燗にすると個性が楽しめます。
最近では瓶のラベルに冷酒向き、燗酒向きの表記があるので、
参考にしてください」

こうした温度帯や種類の特徴を理解していれば、
好みのものを探しやすくなる。
また、お燗を付ける際は日本酒のデリケートな風味を
壊さないように気を配るのが肝心だという。

「熱すぎると香りも味わいも飛んでしまい、
せっかくの美味しいお酒を台なしにしてしまいます。
日本酒は繊細で、昔はどの料理屋にも「お燗番」がいたぐらい、
本来お燗は難しい作業なのです。
自宅でお燗にするなら、ダラダラと温めず、
鍋の前に立って、温度を見ながら引き上げるよう心がけてほしいですね」




監修/友田 晶子さん

日本料飲ビジネス研究会会長。藝術学舎非常勤講師。トータル飲料コンサルタント。食に関する一般向けセミナーをはじめ、酒販店や料飲店など、プロ向けのコンサルティングを行う。著書に『世界に誇る国酒~日本酒~』(ギャップ・ジャパン)など。