男子たるもの、「いつかは、こんな男になりたい!」という理想の人物がいるはず。
スタイルも生き様もすべてがかっこいい、伝説の男のファッションの秘密に迫る短期連載。

第1回は、死後四半世紀近く経つ今なお、ファッションアイコンとして君臨する
伝説のバンド・ニルヴァーナのフロントマン、カート・コバーンの魅力に迫る。

'90年代を駆け抜けた栄光と悲劇のロックスター

 1967年2月20日、アメリカに生まれたカートは、高校中退後、バンド・NIRVANA(ニルヴァーナ)を結成。1989年にはインディーズから初のアルバム『BLEACH(ブリーチ)』を発売、その2年後に、メジャー1stアルバム『NEVERMIND(ネヴァーマインド)』が爆発的なヒットとなる。しかし、商業的な成功と自分が追い求めるアンダーグラウンドな音楽性とのギャップに苦しんだ彼は、ドラッグや鬱病に苦しみ、1994年シアトルの自宅にてショットガンで自殺。享年27歳という若さだった。

Photo by AFLO

くたびれた日常着が生んだ、究極のロックスタイル

 カート・コバーンを象徴する一般的なグランジスタイルは、トップは古着のチェック柄ネルの上からカーディガンを羽織り、ボトムスにはダメージデニム(足元にはオールスターやジャックパーセルなど、コンバースを愛用)を合わせたものだ。
 グランジ=“grunge”とは、「薄汚い」とか「粗末な」という意味だが、このラフ感こそ、まさにカート・コバーンのファッションのすべてなのだ。特に、彼が出てくる以前のアメリカロックファッションは、マイケル・ジャクソンに代表されるような、ゴージャス感が漂ういかにも衣装的で、インパクトが強烈なものが主流であった。それに対し、彼が纏う毛羽立ってくたびれたネルシャツや、ボーダー柄のほつれたニット、横糸がむき出しになってヒザがヨレヨレになったデニムが見せる、素朴で味わい深い表情は、当時の若者の目にはものすごく新鮮に映ったに違いない。

 

 しかも彼が愛した一連のアイテムは、特別なことは何ひとつなく、アメリカにいればどこでも見かける最もポピュラーな、いわゆる“日常着”。自国にはもちろん、ロック発祥の地イギリスにもない、まったく新たなロックスタイルとなったのだ。世界ではもちろん、日本でもNUMBER(N)INEなどで知られる宮下貴裕氏など、のちの著名なファッションデザイナーにも多大な影響を与えている。

ファッション業界のフォロワーたちの声は?

「ドラッグ、グランジ、ジャックパーセル、ダメージデニムと、おしゃれのアイコンといったらこの人が真っ先に思い浮かびます。それに一度はあんな金髪にしてみたいですね」(Aさん・美容師)

「『Smells Like Teen Spirit』を初めて聴いたときの衝撃は、今も忘れられません。オリジナリティーにあふれた独特の着こなしも、参考になりました」(Hさん・ファッションデザイナー)

「グランジファッションの原点とも言えるカートは、存在そのものが伝説だと思う。ネルシャツにクラッシュデニムは、もはやアイコン的存在です」(Mさん・スタイリスト)

「享年27歳という短い人生ながら、没後25年近く経っても未だ人気が衰えない。新しいファッションの形を生み出した、まさに伝説の存在ですね」(Kさん・ショップスタッフ)

 

ファッションにおいても多大な影響を後世に残したカート。
次回、後編ではよりそのディテール部分に深く迫ります。お楽しみに!