現在、関西大学のアイススケート部で監督を務める織田信成さん。選手も指導者も経験した織田さんの目から見た、フィギュアスケート選手育成現場のリアルな現状とは。

厳しい家計状況の中で滑り続けた学生時代

――フィギュアスケート選手の育成に、今何が必要とされるのでしょうか。

 やはり環境を整えることが第一課題だと思います。練習場所や練習時間だけでなく、道具代や遠征費を確保することも含めてです。今多くの選手が経済的に厳しい状況におかれています。フィギュアスケートって、すごくお金がかかるんですよね。僕自身も、高校進学の際には、本当は私学の方がフィギュアスケートをする環境が整っていたと思うのですが、学費の面で公立を単願で受けました。今思えば、当時は家族旅行にもほとんど行っていません。お金に裕福な子だけしかフィギュアスケートができないとなると、当然全体のレベルは下がると思います。

――ロシアは国技扱いで、国のサポートが厚いと聞きます。

 昨今のロシア女性選手の躍進は、国によるバックアップ体制の賜物とも言えます。もちろん、国のバックアップというのは税金ですから「好きなことをやっているのなら自己責任」という意見も当然です。ただ、オリンピックで日の丸を背負う選手のために、より良いサポート体制が整うとうれしいですね。

――大変な中で、織田さんはどうやって頑張れたのですか。

 お金のことが少し理解できるようになると、いかに母がお金の工面で苦労していたかがわかるようになりました。僕がフィギュアスケートをやめた方が、楽になるんじゃないかなと思ったこともあります。でも、そうした追い詰められた環境が、僕には合っていたのかも知れません。公立高校の受験だって、後がない分ものすごく頑張れましたから(笑)。

〈明日の質問は……Q28 .「これからの人生、どう歩んでいきたいですか?」です。〉