NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンのシグニチャーモデルとして生まれた〈AIR JORDAN〉。誕生から30年を超え、その背景や物語を知らずにファッションアイテムの一つとして楽しむ世代も増えてきた。そんな「マイケル・ジョーダンを知らない世代」のためのエアジョーダン基礎講座として、今なお続くナンバリングを順に振り返りながら、歴史を紐解いていきたい。

第10回は、1995年発売の「AIR JORDAN 10」。
MJ(マイケル・ジョーダン)の引退によってシリーズ終了が噂されたAJ(エアジョーダン)だが、それを一蹴するかのようにAJ10はリリースされた。シリーズのひと区切りとなる10作目、しかもMJの引退後に開発されたこともあって、このAJ10はメモリアルモデル色の強いものとなっている。

 

メモリアルモデル的存在が
MJの復帰で俄然注目モデルに

写真を拡大 AJ10最大の特徴は何と言っても9年間のNBAキャリアの中でMJが打ち立ててきた実績の数々がアウトソールに刻まれているところ。かかとからつま先の順に時系列でストライプ状に刻印されている。そして右下の写真は、復帰直後のMJの足元を捉えたと思われるカット。

主なき時代に開発されたシリーズの節目となるモデル

 メジャーリーガーを目指すMJ(マイケル・ジョーダン)が2年目のシーズンを迎えた'95年2月、MLBは前年の8月からストライキに突入していた。オープン戦が始まる3月を前に、彼は球団のオーナー側につくか、それともメジャーリーガー側につくかで悩んでいた。そして、その結論としてMJが出した答えは、そのまま野球界を去るということだった。MJは3月10日に正式に野球界からの引退を発表。3月18日には「I'm back」のメッセージを出し、翌日のベイサーズ戦でブルズから17ヶ月ぶりにNBAに復帰した。背番号は野球に挑戦していたときと同じ「45」、そしてシューズはAJ10だったーー。

 

 AJ10はところどころに新しいテクノロジーが盛り込まれているものの、全体的にはオーソドックスな仕上がりとなった。それまでのAJにあった戦闘的なイメージはあまり感じられない。また、当初は3色で“打ち止め”のはずだったが、MJがNBAに復帰すると、それを祝福する意味で限定カラーの5色が追加販売された。

写真を拡大 NBA復帰を祝して発売された5年限定モデルは、アウトソールとライニングに各都市をフランチャイズとするNBAチームのカラーを使っているのが特徴。5つのモデルの中でも、MJが実際に試合で履いたシカゴ限定はダントツの人気を誇り、一時は数十万円のプレ値で取引されていた。

 主を失ったシグネチャーということで、AJ10は当初売り上げが伸び悩んでいた。しかし、MJの復帰はAJの人気回復につながり、翌年には日本に再びスニーカーブームが起こることになる。