3キロもある「ショルダーフォン」から、手のひらサイズの「スマートフォン」へ。携帯電話の30年の歩みを振り返ると、その進化はすさまじい。現代人の「3種の神器」でもある携帯電話はIoTやシンギュラリティが待ち受ける未来には、一体どんな形になっているのだろうか? ジャーナリスト・西田宗千佳氏に携帯電話の「2040年の形」をテーマに話を聞いた。〈前後編の前編〉

■性能の進化は予想の範囲内。ポイントは“技術の拡散”

 まずは、最近の携帯電話について。新しい機能が搭載され、性能は飛躍的にアップしているように思える。しかしその進化は「意外なものではない」と西田氏は言う。これは一体どういうことか。

「電気かデータが流れるもの全般」をフィールドにする、ジャーナリストの西田宗千佳氏 (写真:河野優太)

「10年前と今を比べると、画面が広くなったとか、薄くなったとか、通信速度が上がったとか、良くなったことはいくつもあります。しかしそれは別に意外なものではありません。なぜかと言えば、技術は進化するものだからです。例えば、コンピューターの演算能力は大体18カ月で倍になると言われています。1年半で倍、3年で4倍、そしてそこから18カ月経つと8倍、さらに18カ月経つと16倍…と指数関数的に上がるもの。その成長曲線では予想の範囲内だということなんです」

 昨今の携帯電話、スマートフォンの進化のポイントはもっと違う所にある。それは“技術の拡散”だ。

「iPhoneだけで年間3億台規模で生産されています。スマートフォンが世界的に普及したことで、その中に入っている技術が安価になり、いろいろな場面で使われるようになりました。例えばスマートウォッチ。つけるだけで正確にカロリーや動いた距離を測れますが、あれはスマートフォンの中の動きを知る技術、モーションセンサーによるものです。ドローンやVRなどでも同じ原理が使われています。

 90年代にはPCやゲーム機は産業に大きな影響を与えましたが、全産業を合わせて年間1億台規模でした。一方で、スマートフォンが与える影響は年間で数十億台。桁が違うわけです。スマートフォンの普及で安くクオリティの高い技術が簡単に手に入るようになり、これがベースになっていろいろな所に拡散されたおかげで、劇的に“できること”が増えました。これが一番大きな変化だと思っていただいていいと思います」

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