3キロもある「ショルダーフォン」から、手のひらサイズの「スマートフォン」へ。携帯電話の30年の歩みを振り返ると、その進化はすさまじい。では、IoTやシンギュラリティが待ち受ける未来は、一体どんな形になっているのだろうか? ジャーナリスト・西田宗千佳氏に携帯電話の「2040年の形」をテーマに話を聞いた。〈前編『iPhoneのインパクトは「技術の“拡散”」だ』に続く後編〉

■通信の形を大きく変える“5G”の可能性

「電気かデータが流れるもの全般」をフィールドにする、ジャーナリストの西田宗千佳氏 (写真:河野優太)

 もうひとつ2040年の形を考える上で、ポイントとなるのが“5G” (第5世代移動通信システム)だ。“5G”によって、携帯電話はテレビやスピーカーなどさまざまなモノと繋がることになり、生活や意識そのものが変化するだろうと西田氏は予想している。まさに映画の世界だ。

「携帯電話は5Gの導入で大きく変わるでしょう。その変化には2つの側面があります。ひとつは通信の速度が上がること。この進化を数字で表すと、2時間の映画のダウンロードにかかる時間が数十分から数秒になります。そして、今まで1日かかっていた時間が数秒になれば、新しくできることが増えると企業の側は考えます。

 そうすると例えばWEBサイトでは、写真ではなく3Dデータを掲載できるようになるわけです。物の立体物をくるくると回しながら、「服のここはこうなっているんだ」と見ることができる。技術的には今でも可能ですが、ページを表示するのに5秒以上かかると離脱率が上がるので使いづらいんです。5Gになるとそういった制約から解放されるので、いろんなリッチなものを入れていくことが可能になってきます。

 もうひとつは、IoTを促進するということ。5Gになれば、通信速度単価も下がりますし、スマホでのアクセスと自宅の固定回線でのアクセスとスピードの差がなくなります。通信スピードが百倍になれば、同じ時間で使える通信量は劇的に増えます。そして、テレビや屋外の監視カメラ、自宅の鍵などが全部ネットに繋がって、携帯電話を当てると通信モジュールがオンになり、携帯電話の契約に紐付けができたり、自動的に繋がっているという可能性もあるかもしれないですね。世の中にある機械がどんどんネットワークに繋がっていきますが、より繋がりやすくなるのが5Gなんです。単にスピードが速くなるだけじゃなく、連携する機能が加わっていくということです。現在の4Gでも可能なことは多いのですが、5Gになることで、より幅広く使われていくでしょう」

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