――行方不明の親友を探しに海外へ……からの大冒険! エジプトの砂漠でラクダの群れとはぐれ失神、暴れロバと小猫、黄金の鳩と番犬を引き連れ、灼熱のモロッコで行商。前代未聞の25歳(当時)の冒険家・春間豪太郎が1000km歩いた6か月の記録の一部を、『-リアルRPG譚- 行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険』より紹介しよう。

 ■熱が出た

 村を出発してから二日目の朝、起きてすぐにおれは異変に気づいた。このだるさ、頭痛、これは……。

 ……熱が出てしまったらしい。昨日プレッソに舐められたことが原因に違いない。

 体温計で熱を測ると三十八度だった。熱があるままモカと歩いて、事故にでもなったら大変なので、今日は進むのを諦めることにした。とりあえずどこか冷暗所で休むべきだ。

 すぐ近くにあるガソリンスタンドの従業員に事情を話すと、従業員用の休憩室で休ませてもらえることになった。冷房などは当然ないが十分涼しいのでここなら今日中に熱を下げることができるだろう。ちなみに動物たちは外だが、人目に付かない所に荷車ごと隠しておいたので大丈夫だ。おれは気を失うように眠りに就いた。

 目を覚ます。どうやら熱は下がったようだ。時間を確認すると、夕方の六時だった。

 たっぷり九時間ほど眠っていたらしい。体はまだだるいが、明日には出発できるだろう。

 少し安堵し、寝返りを打って反対側を向くと、隣で従業員の男が横になっていた。男は四十代ぐらいだろうか。おれ以外に人がいる事に驚きつつも、とりあえず挨拶をする。

「こんばんは。お陰様でかなり良くなったみたいです。あなたも休憩中ですか? できればもう少しここで休んでいてもいいですか?」

 おれがそう言うと、男はおれの方を向いて返事をした。

「おれは今日の仕事が終わったからここで寝るんだ。あんたも好きなだけ休んでいきな」

 どうやらこの男もここで寝るらしい。ともあれ、許可が下りたのでおれは明日の朝までここで休ませてもらうことにしようと思い、もうひと眠りすることにした。

 おれはぼんやりとした意識の中、誰かに体を触られているような気がした。しかしおれはその感覚を夢や金縛りの類だと考え、改めて眠りに就くことにした。

 ……それからどのくらい時間が経っただろうか。次に起きた時、おれは異変に気づいた。

 な……なんだよこれ!!

 ……なんと、おれのズボンが脱がされている! そして、先ほど隣で横になっていた男がおれの下半身を撫でまわしている!!

 ベルベル人の遊牧民と昼食を食べた時といい今回といい、どうしてこうなるんだ! 世の中にホモってそんなに多いのか? とにかくこの状況はまずい! 今すぐ逃げないと!

 そう考え、男の手をどけ、声をかける。熱で体力を消耗していたせいで力が入らない。

「や、やめろ……」
「大丈夫。そこでそのまま寝ててくれれば。気にしなくていいから」

 いや気にしないとかそういう問題じゃないだろう! ……この男は完全に「やる気」だ。

 早く、逃げないと……。そう考えたおれは立ち上がり、ズボンをはいて外へ向かう。男は慌てておれを引き止めてきたが、男の力は強くなかったので、おれは何とか外へ脱出することができた。

 その後、結局おれは荷車を人目に付く場所へ移動させ、そこで野宿をすることにした。

 ここは深夜でもガソリンスタンドの他の従業員や、ドライバーから見える場所なので、ホモの危険はないだろう。おれは少し緊張を引きずりながらも、仮眠を取ることにした。

<『-リアルRPG譚- 行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険』(電子版もあり)>