第二部 第二十七章
善行無轍迹

★誇示しない生き方

 寒い冬を越えて、桃の花の咲く春が来ると、気持ちもほころんでなんとなく楽しくなります。春の陽気の中で老子に学ぶ無為自然の生き方、今月は老子二十七章の「善く行くものは轍迹なし」です。善行をしても、それを誇示したりせず、迹を残さない事こそ無為自然の生き方ですよ、というのです。ところが私達は、往々にして自分の行動を誇りたくなります。たとえば何か人のためにしたり、業績をあげたりすると、それを自分の功績として人に知らせ誇りたいと思うのです。ですが老子はその自己顕示欲こそが我執であり、そんな気持ちで行った行為はすでに自分のための行動であり、善行ではないと教えています。そして本来の天地自然に沿った行動とは、何事も自然のままの行動なので、誰がやったかわからないし、恩をきせるような事もしないというのです。