自動運転など、テクノロジーの進化により、自動車の未来形はどうなるのか? BEST T!MES編集部が行ったアンケート「2040年大きく形を変えていそうなものは?」でも一番多くの票を集めた。その未来形をさぐるべく、レーシングドライバーで自動車評論家の松田秀士氏に聞いた。

■自動運転も電動化も可能。もっと大事なのはライフスタイルがどう変わるか。

自動車評論家の松田秀士氏 (写真:西谷圭司)

2040年の未来形を考える。しかし、実はクルマの自動運転化も電動化も技術的にはもう可能なのだ。ここでは、一歩進んで未来の私たちの幸福度を考えてみたい。2040年にクルマが変化したとして、ライフスタイルがどのくらい変わるか。

──EVも自動運転も、技術的な壁は乗り越えられる。しかし、そうして切り開いた未来絵図は、私たちの将来の幸福につながるのでしょうか。

松田:確かに効率優先の考え方によって未来を構築していくと、どうしても歪みがでてきそうな気がします。

──たとえばEVです。クルマを充電設備ごと買えというところに売り方自体無理がある。電気でクルマを走らせるなら、少なくとも充電しないで走れるEVを作らなければ、集合住宅の多い日本では普及しないと思います。ハイブリッドを考えた方がいいのではないでしょうか。

松田:BMWと日産は発電専用のエンジンを積んだ(ハイブリッド)EV車が出ていますね。

──メルセデス・ベンツもFormula 1の技術を応用し、走行中40分で充電完了できるハイブリッド車を市販している。またF1では、ひと昔前の半分の燃料で同等以上のパワーを出す燃焼技術を確立。そんななかでのガソリン技術を捨ててのEV化推進はどうなのでしょうか。

松田:僕も洗車に使っていた近所のガソリンスタンドが最近潰れてしまって、不便にもなりましたし、あそこにいた従業員の方々はどこに行ったんだろうと思うこともあります。要はランディングの仕方であって、失われた仕事の分をどこで増やすか。たとえばEVの分野で自動車産業で雇用を創設できないかとか、ガソリンと並行していこうとか、そういうことを考えながらの移行であるべきだとは思います。

──働き方改革の議論でもそうですけど、働かなくてもいいけど、日々将来に不安を抱えながら時間だけ過ぎていくという未来は怖い気もします。

松田:僕の地元は高知なんですけど、四国山脈に隔てられているから産業が育たない。本当に何もないの。だから若者は大阪や東京に出て行くしかないし、残ってる人達は酒を飲むしかない(笑)。当然、クルマなんて好きには買えません。地方創生は進んで来てはいますが、もっと地産地消というか、生まれた土地で活躍できる社会にならないと、クルマも売れていかないと思います。逆に田舎の方がクルマが生活必需品なんですから。