ハリルジャパン、マリ戦・ウクライナ戦を1分1敗で終えて――。スポーツライターの寺野典子氏がリポートする。

■「いい経験をしてます」大迫が語るブンデスの日々

「自分たちの得点パターンが封じられたとき、別の形がなかった」
 ワールドカップブラジル大会を振り返った岡崎慎司の言葉が頭の中に残っていた。はたして、ロシア大会へ向かう現日本代表に攻撃のバリエーションがあるのだろうか。疑問は消えない。

 1トップの大迫勇也にボールを預け、そこを起点にサイドの選手が得点を奪う。アジア予選ではその形で多くのゴールを生み出してはいる。しかし、昨年11月にブラジル代表を相手にしたとき、大迫とて起点になるのは困難だった。
 大迫のポストプレーが日本人選手のなかでトップレベルにあるのは間違いない。バイエル・ミュンヘンの守備陣にも動じずプレーした試合を生で見ていたから、ブラジル戦で苦労する大迫の姿が印象深く残っている。大迫に身体を預けられたDFは大迫を跳ね返すこともなく、逆にすっと力を抜く。当然、大迫のバランスが崩れた。DFの強さだけではない駆け引きの巧みさに驚いた。
「ブンデスリーガとはまったく違った」
 ブラジル戦後の大迫はそう短く語っている。

 3月15日、ケルンの練習場を訪ねた。
 残留争いを続けるチームの空気は殺伐としていた。
「今日の雰囲気はよくないですね」。それでもその三日後の3月18日に格上のレバークーゼンを倒すのだから、サッカーとは不思議なスポーツだ。
「本当に難しい。自分だけじゃないので。自分がよくても勝てない試合はあるし、自分が悪くても勝てる試合もある。でも、自分は最低限、このレベルはやらなくちゃいけないというのをやって、そこにプラスアルファということですね。ほかのことを考えてもいいことはない」

 

 試合後はいつも、自分のプレーを映像で確認し、なにができて、なにがダメだったか。チームの結果に左右されずに、自分のプレーを冷静に整理しているという。そういう作業が、安定に繋がり、チームの欠かせない存在となっているようだ。
「いい経験をしていますよ、本当に。すごく大変ですけど。しっかりと向き合うようにしていかないといけないからね。これからのために」
 
 代表について訊く。
ハリルジャパンにある課題。長谷部誠が語った「大前提」とは

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