首折れサバ…首折れサバの旬は秋から春にかけて。屋久島民も首折れサバが大好きで、入荷されると鮮魚店に「首折れサバ」ののぼりがはためくほどだ。

日本最南端のブランド鯖
「首折れサバ」に出会う
 

 日本で初めて世界自然遺産に登録された鹿児島県・屋久島。屋久杉に圧倒される太古の森を有する大自然の魅力もさることながら、サバファンならぜひとも味わってもらいたいのが「屋久島くびおれサバ」。日本最南端のブランドサバだ。

 首折れサバのふるさとは、島北部に位置する一湊。やわらかな光が注ぐ、美しいガジュマル並木を眺めながら一湊漁港へ向かった。 
 首折れサバは東シナ海側から日本海側で漁獲した、500グラム以上のゴマサバの首を折って処理したもの。

 『ゴマサバの首を折って、血抜きすることで鮮度を保つ「首折れ」という技法は、このあたりの漁師は昔から行っていました』と語ってくれたのは屋久島漁業協同組合上屋久支所の真辺隼人さん。

 一湊は明治のころから、サバ漁で隆盛を極めた。水揚げされたサバは、すべてサバ節として加工されていた。しかし、刺身で食べている人々がいた。漁師たちである。漁師たちは地元のサバを生で食べる美味しさを知っていた。「自分用のサバを楽しむ」ための鮮度維持として行っていたのが「首折れ」なのだ。
 

漁師だけが知っていた
首折れサバの美味しさ

 ここで衝撃的な事実が発覚。じつは屋久島に「首折れサバ」の加工品は存在しないのだ。首折れにしたサバは鮮度がよすぎて加工には向かない。首折れサバは刺身で食べることが前提という日本唯一の「生食専門」ブランドサバだったのだ。
 漁師だけの楽しみだった「首折れサバ」が全国的に知られるようになったのは、ブランドサバがブームになった90年代。『サバがブランド化されていると聞いて、本土に食べに行ったんだよ』と漁師歴50年の真辺時哉さん。

『あれ? と思ったよ』と真辺さん。
『うちのサバは間違いなく絶品だってわかったね』。

 これを機に、漁協ではブランド化を進めた。首折れサバの魅力は「食感」だと漁協のみなさんが口をそろえた。「とにかく、ゴリッとしてる」。なにせ屋久島では「マサバよりゴマサバが格上」なのだ。島民にとってマサバは「やわい」のである。
 

日本一の「ゴリ食感」を
刺身,にぎり,漬け丼で味わう


#01 (首折れサバの)刺身

 そんなゴリ食感を訪ねるべく向かったのが宮之浦集落にある「潮騒」。地魚を使ったメニューが揃うお店だ。『首折れサバの魅力はゴリッとした食感』とご主人の迫田和治さん。ここでもやはり「ゴリ」発言。いったいどれだけゴリなのか!? というわけで…さっそく首折れサバの刺身、いただきます!

……「ゴリッ」

ご、ゴリ降臨!!

 「コリコリ」どころのヤワな話じゃなくって「ゴリッ」!押し返してくるような歯ごたえのあとに、ブリッ。しまりのいい身がブルン、とろりと口の中にすべりこんでくる味わい。これまでいろいろなサバを食べてきたけれど、最南端のサバは日本一の「ゴリ食感」! いや、たぶん「宇宙一」! 食感だけではない。ふくよかでキレのいい脂、鮮やかな旨みも魅力。

「潮騒」の刺身。グイグイ、ゴリおし!!ブリブリ、モチブリなどサバの食感はいろいろ体験したけれどこれほどまで、歯にせまってくるサバは初めてかも…。
 

 さらに、屋久島で愛される郷土料理「サバすき」もいただいた。サバをすき焼き風に食べる一品だ。味噌を隠し味にした甘辛いだしにくぐらせたサバは、旨みがギュッと凝縮される。そして、サバの旨みが染みた白菜やきのこなどの野菜もバツグンの美味しさ。ジェンヌ、うっとり。

「潮騒」の「サバすき」。島民おすすめの食べ方。潮騒では味噌が隠し味になっている。

『潮騒』
◼鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦305ー3
◼TEL: 0997-42-2721