完全にゼロの段階から、登場人物を生み出し、世界を生み出し、物語を作っていく脚本家の仕事。アイデアがまったく出ない……という煮詰まった状況となったときは、一体どうやって対処しているのだろうか? 古沢良太さんに聞いてみた。

――古沢さんが描かれたマンガ『ネコの手は借りません。』に登場する脚本家は、書けないときは外を散歩していましたよね。 古沢さん自身も、散歩はよくするんですか?

 だいたい煮詰まると散歩します。アイデアがパッと出てくる瞬間って、歩いているときが多いんですよ。

――ちなみに外でアイデアを思いついた時は、メモを取ったりするんですか?

 あまりメモはとらないです。ただひたすら考えつづけて、ブツブツ言いながら歩いています。

――マンガの中だと、その結果として職務質問されていましたよね。

 そうそうそう(笑)。

――実際されたこともあるんですか?

 ありますあります。ちょうど近くで事件があった時だったらしくて、警察の人に「あなた何してるんですか?」と聞かれて。僕は夜中に2時間とか3時間とか歩いたりするから、そのとき自宅からムチャクチャ遠くまで来ていたんです。それで家の住所を聞かれて答えたら、「ここまで散歩で来たの!?」「え、いけませんか?」みたいになって(笑)。しかも僕は、繁華街とかを歩くと気が散っちゃってイヤだから、住宅街の静かなところを歩くんですよ。

――それは職質されやすいでしょうね(笑)。夜中に遠くまで歩いたら、帰るのがイヤになるんじゃないですか。

 はい。それで必死に帰ってきて、書く体力が残ってないことはよくあります(笑)。あと僕は、住宅街を歩くときに表札を見るのがクセになっちゃって。やっぱり脚本の登場人物の名前って、いつも付けるのに苦労するので、「覚えやすい名前とかないかな」って探しちゃうんですよ。それも怪しまれる要因だと思います(笑)。

 
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