■「給与」をもらう立場か、個人事業主か

今賀 風俗嬢の中でも、確定申告をしなくてもいい人もいるのでしょうか?

松本 いると思いますよ。お店から支払われたお金が「給与」として明確になっており、その会社が源泉徴収と年末調整をしているのであれば、確定申告をしなくても大丈夫だと思います。

 ただ問題なのが、風俗店の場合、お店自身が女の子に支払っているお金が「給与」なのかどうかよく分かっていなかったり、そもそも税金を支払っていない無申告のお店も非常に多い。

 そのため、まずご自身がどういう立ち位置なのか=サラリーマンと同じように「給与」をもらっている立場なのか、それとも個人事業主という立場なのかを確認することが大切です。

今賀 税金をきちんと申告したいという気持ちはあるんです、という人もいるのですが、具体的に、いつ・どこで・どうやればいいのでしょうか。

松本 今だったらパソコンでe-Tax(インターネットで国税に関する申告や納税、申請・届出などの手続ができるシステム)がありますので、それを使って一年分の所得と納税額を計算して、翌年3月15日までに申告すれば大丈夫です。

今賀 e-Tax、今年やってみようと思ったのですが、失敗しまして・・・。

松本 それでは今賀さん、今年は税金を払っていない=脱税しているということですか(笑)。

今賀 違います!結局、郵送で送りました。一応税金は払ったのですが、かなり不安を感じています・・・。

 働く女性の中には、何年間も無申告の状態だったので、今さら申告したら、とんでもない額の税金を請求されるんじゃないのか・・・と不安に思っている人もいます。貯金は全くのゼロという方もこの業界は結構多いんです。どうしたらよいのでしょうか?

松本 この問い合わせはものすごく多いです。私たちは税の専門家として、「払わなくてもいいですよ」とは言えないので、「ちゃんとやりましょう」という回答をさせて頂きます。 

 税金の時効=税務署が税金を徴収することができなくなるまでの期間は、5年間(申告の期限内に提出していない場合)です。

 つまりこれまで無申告だった場合、税金は最大で5年分さかのぼって支払う必要がある。1年間で100万円の税金の未払いがある場合、5年間だと500万円になる。かなり大きな金額になるので、申告すること自体を躊躇される方も多いです。

 中には「絶対に逃げ切ってやる」という人もいらっしゃいますが、僕らは決断を強制することができないので、最後はご本人の自己判断になります。税務署にバレるバレない以前の問題として、無申告は大きなリスクです。

 そのため繰り返しになりますが、まず自分が確定申告が必要な立場なのかどうかを確かめることが大切です。

今賀 申告はしたいのですが、今までの収入や経費を全くメモしていない。レシートもすべて捨ててしまった・・・という人も多いと思います。そういう場合は、まず何から始めればよいでしょうか?

松本 私たちにお問い合わせを頂く女性のうち、半分くらいはそうした方です。

 手元に資料が全くない時は「推計課税」というやり方があります。「その時、これくらいは稼いでいたよね」というイメージから、所得の合計金額を復元していく。

「資料がないから税金を払えません」と言っても、税務署は怒るだけです。そのため、当時の生活状況や家賃はこれくらいで、最低でもこれくらいは稼いでいたよね・・・と逆算していく。

 通常の税理士事務所は、推計課税をやりたがらないんですよ。なぜなら、誰も百点を取れないからです。私たちも、納税者ご本人様も、税務署もとれない。だから普通の事務所はやりたがらない。

 私たちは多くの案件をやっているので、これまでの所得率を基にして「大体これくらいであれば、経費にできます」というアドバイスはできます。