今後AI時代に生き残るリーダーは、どのようなリーダーか? これからはますます、機械ができること、人間にしかできないことが区別されていきます。機械にもできる仕事をやっているリーダーは評価されなくなり、機械に取って代わられるのは間違いありません。私たちが仕事をする上で、「過去も現在もそして未来も変わらなく必要な能力」と、「これから必要になる能力」があります。1万5000人以上のリーダー育成を支援してきた鳥原隆志氏が、新刊『AI時代のリーダーの原則』の中で(KKベストセラーズ)こう説明します。
■これからも必要な能力
判断と決断 問題解決 優先順位設定力 洞察力 部下育成力 ヒューマンスキル 創造力 巻き込む力 計画組織力 やらないことを決める
■これから必要な力
変化対応力 ロングテール力 戦わない力 自己管理能力 自然力 仕事を楽しむ力 コアピタンス形成力 演出力 補正力 ビジョンメイキング 原点回帰力 感度を倍にする
時代を追い越す力 後任を育てる力 人間力 ミッション形成力 研磨力 傾聴力 品格 

 
判断の裏にあるものは「リスク」です。それに対して決断の裏にあるものは「デンジャー」
(写真:フォトライブラリー)

 まず最初に、「これからも必要な能力」として【判断と決断】について述べたいと思います。

 判断と決断はよく混合して使われますが、どちらもリーダーにとっては必要な要素です。

 まず判断と決断の違いについて知っておく必要があります。

 判断とは、自分の考えをまとめることです。

 そのために、裏付けとなる情報をとったり、論理的な根拠を用意することが必要となります。

 次に決断とは「きっぱりと決めること」と表現されます。

 一見、判断とほぼ同意に見えるのですが、実は内容は大きく異なります。

 それは判断と決断をした際に背負うものが異なります。

 判断の裏にあるものは「リスク」です。それに対して決断の裏にあるものは「デンジャー」です。

 リスクはアラブ語で「明日への糧」と表現されて、積極的に冒していくものですが、デンジャーは直訳すると「危険」ですから避けるべきです。

 つまり決断は、時には生死にかかわるほど影響度の大きい判断と言えます。

 また判断は情報を集めたり、対策を考えるなどで精度を高めることができますが、決断は情報を集めることができないか、そもそも情報を集めても精度が高くなるものではないので、ある意味ギャンブル的な要素が高いのです。

 決断はその名の通り、「断つものを決める」という側面もあります。

 つまり切り捨てるものや断ち切るものを決めるということは痛みを伴います。

 例えば、転職をするにあたり難しいのは、行き先を見つけることよりも、今の職場から退職することを決めることだと言われています。

 つまり、転職先を決めるには様々な情報を得たり、周りに相談して助言を得ることで精度を高めることができますので「判断」と言えます。

 しかし、今の職場を退職するのは、情報を集めたり、周りに相談してもほとんど精度は変わりません。

 なぜなら、辞めるということが良いことか、悪いことかは、極論言えばやめなければわからないからです。ですから「退職を決める」のは決断と言えます。
 人工知能が判断することは、判断の機軸がしっかりとあり、数値化できるものは可能かもしれません。

 しかし、私は「判断」も「決断」もリーダーがこれからもし続けなければならない重要な行動だと思っています。なぜならチームを動かす判断は、正解がないからです。

 つまり、AIが一部の判断を担うことになりますが、その一方で、AIが決めることができない高度な判断や決断がリーダーに求められるからです。

 
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