■救われた武田鉄矢からの言葉

――へえー。それはすごい。演技といえば、香川照之さんや綾野剛さんの言葉に励まされたというエピソードがあったんですけど、一番印象深い言葉ってありますか。

高橋 これはよく言うんですけど武田鉄矢さんの言葉ですね。「女優を続けなさい。ハーフを気にしているかもしれないけど、ハーフとしても、女性としても魅力的だから自信を持って女優を続けなさい」っておっしゃっていただいた。

――純と愛ですね。

高橋 はい。(武田さんが)義理のお父さん役だったんです。

――デビュー作でしたね。毎朝欠かさず観ていました。

高橋 ありがとうございます。

――なぜ武田さんは続けなさい、とわざわざ……?

 

高橋 デビューしたての16歳の頃にメディア関係者の方に「女優顔じゃない」と言われたことがあったんですね。それから「わたしに女優という選択肢はないんだ」とずっと思っていました。以来、モデルを中心に仕事をしていたので、偶然、純と愛のオーディションの書類が通ったと知らされたときも「女優顔じゃないから、行っても落ちるのにな」と思っていたんです。しかも絶対、朝の顔じゃないって(笑)。

――「女優顔じゃない」という言葉がひっかかって……

高橋 というより、女優業なんてできるわけがない、と。選択肢にすらなかったんです。でもモデルをしながらもずっと演技練習はしていたので、やりたいという気持ちを封じ込めていたのかもしれないですね。

――選択肢になかった、ですか。

高橋 一番なかったことでしたね。それが役をいただいて、役柄が自分の母に似ていたんで(編集部注:日本人とフィリピン人のハーフで、家族を支えるためにフィリピンから出稼ぎで日本にやってきたマリヤという役)、母にセリフを一語一句読んでもらって、フィリピンのなまりとかもぜんぶマネして。だからすごく思い入れが強かったんですよ。たまたまやる最初の役が、母を演じるつもりでやったので、すごく楽しくて。

――そこからのめり込んだ。

高橋 でも、それもハーフの役だったので、これっきりかなと思っていました。そもそも「女優顔じゃない」と思っていたので。それが、クランクアップまでもう少しというタイミングで、武田さんに「女優を続けろ」というお言葉をいただいたんです。ものすごく響きました。本にも書いたんですけど、他にも若村麻由美さんや風間俊介さん、夏菜ちゃん、おなじハーフの城田優さんと、たくさんの方が「続けてね」ということを言ってくださったことは今でも忘れられないですね。

――とはいえ、それからも順風満帆ではなかったのでは。女優という仕事を続けてきた中での挫折はありましたか。

高橋 「るろうに剣心」の駒形由美役をいただいたときに「なんでハーフなんだよ」ってすごい反感を買ったんですけど、あのときはちょっとつらかったですね。気持ちは日本人なんですけど……でも確かにハーフで得していることもたくさんあるので、こんなときだけ「わたしは日本人」ですって言うのも違うよな、って考えたり。

 

――そんな紆余曲折があって、乗り越えられたからこそ「幸せな言葉」にあふれているんですね。最後に、本に込められたメッセージをいただけますか。できればわたしのような同世代の女性に。

高橋 本のタイトルの言葉はすごくわたしのなかで大きくて。「Difficult? Yes.Impossible?…No.」って、例えば100人中100人が「できないよ」って言ったとしても、自分が少しでもできると思ったり、光を感じるのであればそれが正しいと思いますし、いまどんなにつらくても幸せになるために生まれてきているとわたしは思っているので、幸せになることを絶対にあきらめないでほしいです。この本を読んで幸せな未来を生きてほしいなって。あと、子宮頸がん検診にもすごく行ってほしいし。あのとき行っておけばと思ってほしくないから……なんかたくさんあります(笑)。

――いいお言葉をいただきました。ありがとうございました。これからも演技、言葉に注目していきます!

高橋 ありがとうございました。
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