バブル崩壊後から、幾度となく問題視されてきた雇用の不安定さ。就職氷河期は何故起きたのか? 非正規労働者の増加は何が原因なのかをデータと社会の流れから考える。
(図2-1)農業・建設業・製造業・自営業の就業者数と非正規雇用数の推移 出典:総務省統計局/労働力調査

雇用環境の変化で大学全入時代へ

 雇用について難しく考える必要はない。経済や国際環境、人口構成の3要素の変化がどう影響したか、大きな流れで見るのがよい。

 まず、為替レートが激変した。昭和末期の1985年にあったプラザ合意により、それまで1ドル235円だったレートが円高に振れ、10年後の1995年(平成7年)に1ドル80円を割り込むまでに。これは日本人の給料が、国際的に見ればあっという間に2倍以上に跳ね上がったことにほかならない。それまで、米独仏と比べると一人当たりGDPは7割程度だったが、一気に突き放し、あまりにも高給取りばかりの国になってしまった。当然、これでは製造単価が合わない。そこで製造拠点はどんどん海外に移転し、残った国内工場は、昇給・昇格が望めない非正規社員を主に雇うようになった。これがひとつ目の変化だ。

 ふたつ目はバブル崩壊後、宮沢政権時代は公共投資で景気の下支えを行い、財政バランスが崩れた。橋本政権以降は歳出削減に舵を切り、小泉政権でその流れが加速し、建設業での雇用が減少する。 

 3つ目はサービス流通業の近代化だ。長らく自営業の小規模商店が主だったものが本格的に大規模チェーン店化していく。これで自営業者およびその家族専従員は激減し、代わってチェーン店での非正規雇用が増えていく(図2‐1)。

 

  さらにもうひとつ、バブル崩壊の中で当初、なんとか雇用を維持しようとした企業は、新規採用をストップした。それが就職氷河期を生むが、それでも幹部候補たる総合職社員については、景気回復とともに採用を再び拡大し、2000年代にはバブル期を超える採用数に至る。ただ、女子事務職をメインとする一般職採用は一向に増えず、雇用機会均等法を受けた待遇改善訴訟などで企業が敗退する中で、次第にこの分野も非正規に置き換わっていった。

 平成という時代は、そのまま「非正規雇用の拡大」ともいえるが、その背景は、ざっとこんなところだ。

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