ワルサーP38、シュマイザー短機関銃、モーゼル小銃……20世紀のドイツ軍を支えた、世界屈指の名銃に迫る連載、第1回。
ワルサーP38軍用モデル。軍用モデルを見分ける簡単な特徴は、グリップに水平に刻まれた滑り止めの溝だ。市販モデルではこの滑り止めが細かいチェッカー状の刻みになっている。

 ■ルパン三世といえばワルサーP38拳銃

 人気アニメの主人公ルパン三世の愛銃がワルサーP38であることは、少なくとも日本人男子の多くが知るところだろう。確かに同銃は、銃器史に名を残す名拳銃である。だが、実は銃とは「弾丸」の「発射装置」に過ぎず、その弾丸は、撃ち出すための「発射薬」が収められ、それに着火するための「雷管」が装着された「薬莢」の先端にねじ込まれた状態となり、これを「弾薬」と称する。そして、この弾薬の性能が優れており、さらに発射装置たる銃の構造が優れているという二つの条件が重なって、はじめて名銃が成立する。
 20世紀初頭の1901年、銃器設計技師ジョージ・ルガーは、ドイツのDWM社で高威力の新しい拳銃用弾薬を開発した。同弾はその口径から9mmパラベラム弾と命名されたが、「パラベラム」の名称はDWM社のモットー、ラテン語の“Si Vis Pacem, Para Bellum(平和を欲するなら戦争に備えよ)”にちなむ。だが最近は、実際のユーザーの使い勝手を考慮して「弾丸直径×薬莢長」で弾薬の種類が表記されることになり、同弾は9×19mm弾という無味乾燥な記号で呼ばれる。だが、まがりなりにも戦史研究に携わる身である筆者は、ノスタルジックの誹りはあえて受け、歴史と来歴が込められた9mmパラベラム弾という名称で通すことにする。