「いざ」というときの社会保障を知っておこう

 共働きカップルといえども、その生活がいつまでも続くとは限らない。どちらかが急死したり、離婚をして子供を一人で育てることになったりと、万が一のことに直面したらどうすればよいのか。
 ファイナンシャルプランナー・岡村陽介さんのもとにも、そんな状況に備えて相談にくる人も少なくないという。

「まずアドバイスするのは、万が一が起きた後の生活水準をどこに設定するか。それが一番重要です。夫がいなくなるとすれば、支出は生前に比べ4分の3くらいにはなります。例えば月30万の支出なら22.5万が目安です。その水準をクリアする対策、シミュレーションができているかどうかですね。
 まずちゃんと知っておきたいのは遺族年金の活用。夫や妻の収入にもよりますが、子供二人いるご家庭であれば遺族国民年金と遺族厚生年金を合わせて、年間に非課税で150万から180万程度受け取れると考えられます。月12~13万ぐらいの手取り収入は確保できるということです。
 さらに、児童手当(15歳までの児童1人につき月額1万5千円または1万円)も通常通り支給されます。それにプラスして自分の仕事の報酬もあります。

 ただ、その時に持ち家なのか賃貸なのかでは、その後に大きく関わってきます。持ち家なら住宅ローンで団体信用保険に加入しますので、夫が亡くなった場合、残額が清算されローンは0になります。
 それと産休育休制度や生活保護制度も活用できるなら、絶対に活用すべきです。そこまで考えて、あとどのくらいあればやりくりできるのか・・・と見ていけば具体的なリスクが見えてくるので不安もかなり解消できるのではないでしょうか」

 また、医療費は医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で自己負担限度額を超えた場合、その超えた分の金額が払い戻される「高額療養費制度」の活用も推奨する。

 

「医療費や養育費など、考え始めると不安要素は尽きないものです。不安解消のカギ、賢く生きるには公的制度をどれだけ活用できるかが大切です」

 ちなみに岡村さんの経験では、シングルマザーになっても夫がいたときと同じ生活水準を維持しようとする人は少ないという。妻にも夫に匹敵する収入があれば、いたずらに不安を抱えることはむしろ心理的にエネルギーを消耗してしまう。ただ、共働きとはいえ妻がそれほどの収入がなかった場合、本人の不安はもっと深刻だろう。

 

「家族関係が良好なら実家に帰ることを提案します。生活費も抑えられるし、多少子供の面倒を親に見てもらえます。もちろん子供の転校やご本人のコミュニティーの変化などリスクはありますが、それ以上にメリットがあります。特に万が一が起きた時に大きく変わることって奥様のメンタル面なんです。子供を抱えて外にも出られない状態が続けば、その先に未来なんてないと思います。話し相手もいて食事もできて、働くことが気晴らしにもなる。そんな精神衛生上で良い環境をつくり、なおかつ遺族年金ももらう。心が落ち着いたら就活や学校、資格取得など、本格的に社会復帰する道をさがせばいいし、その気力もわきやすいと思います」

 漠然と不安を感じる前に、何が不安か整理し、それを解消する術は何か。情報収集とシミュレーションをしっかりする。積極的な生き方こそが大切だ。