4月29日から始まる卓球の世界選手権。2000年生まれの黄金世代「みうみまひな」が揃った女子への注目度が高い。石川佳純(25)、平野美宇(18)、伊藤美誠(17)、早田ひな(17)、長﨑美柚(15)。5人の選手はどんな個性を持ち、どんなプレーに注目すればいいのか。「神解説」でおなじみの宮﨑義仁さん(日本卓球協会強化本部長)に聞いた。

 今年の世界卓球は、チームで戦う団体戦。1マッチに代表3人が出場して、最大5試合のうち、3試合先取すれば勝ち。試合はすべてシングルスで、ダブルスはない。

 日本女子は予選リーグの組み合わせに恵まれ、順当ならグループ1位通過で5月3日の準々決勝に進むと予想される。めざすは5日の決勝戦、打倒中国だ。

石川佳純の充実。「若い世代に刺激を受けている」

--日本代表5人について、18年4月の世界ランク順に聞いていきます。今大会キャプテンの石川佳純(3位)は、3月のドイツオープンで優勝。昨年終盤から、以前は敵わなかった中国選手に勝つ試合が増えてきた。

宮﨑 ボールの威力が、ここ2、3カ月で上がっていますね。以前は中国選手と対戦すると、ラリーは続くけど打ち抜けなかったのに、今は打ち抜ける威力が出てきた。

 苦手にしていたカットマン(注:ボールに強力な下回転をかけ、相手のミスを待つ戦型)が相手でも、中国の武揚を2回続けて撃破したり、リオ五輪で負けた北朝鮮のキム・ソンイにも勝った。若い世代に刺激を受けているからか、いまだに成長し続けています。

--特にバックハンドが強化されたと言われます。

宮﨑 つなぐバックハンドから、決定球を打てるバックハンドに変わってきた。専門用語で言うと、ループドライブからパワードライブになった。

 石川の弱点は、バックに長い下回転の球を出されて、それを持ち上げたところを打たれてしまうこと。今はその球を一発で打ち抜ける。これが増えて、中国選手がどこに出したらいいか迷っている。石川の代名詞である3球目攻撃も、以前はフォアハンドのことだったのに、今はバックの3球目でエースボール(注:相手が返球できない好球)を打てる。

--長く日本のトップの座にいる25歳が、ここにきてプレースタイルを変えて、進化していることに驚きます。

宮﨑 新しく変わらないと置き去りにされるのが今の卓球界なんです。卓球は対人競技なので、どんなチャンピオンでも新しい技が出てきたときに対抗して開発したり、対策しないと絶対に勝てない。

 石川佳純も今は普通にチキータ・レシーブ(注:強い横回転が入ったバックフリック)をやりますけど、やるようになったのはここ半年ですから。選手は常に変わっていかないといけないんです。

--ワールドツアーでも馬場美香代表監督がベンチコーチに入る試合が増えました。監督の影響が大きいのでしょうか。

宮﨑 コーチが変わったからすぐに変わるという話ではないと思うけど、今は普段の練習から馬場監督が中心に見ています。馬場さんは全日本選手権を7回獲った女傑ですから、石川もそれに委ねながら自信を持って練習している。若い世代が伸びて、お尻に火がついてるから、練習も鬼気迫る雰囲気でやっていますよ。

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