育児を通した夫婦関係について、「夫」目線で考える本特集「『イクメン』って結局なに?」。第二章では、妻が夫に対しどのような不満を持っているかを明らかにしてきた。家事・育児について協力的じゃなかったり、他人事のようにとらえている夫に、妻はイライラを募らせているようだったが、では、家事・育児の役割分担を行っている家庭ではどうか。
近ごろは家事・育児を一部担う男性が増えてきた。しかし、「それじゃあ……」と思って手伝ってみたところ、「そうじゃない」「それぐらいでやった気にならないで」と、奥さんに怒られてしまったという男性は多いのではないだろうか。夫側は、自分なりにやっているつもりなのに、なぜ妻は責めるのか。妻が怒るポイントについて、家事シェアや夫婦のパートナーシップ、子育て家庭のための模様替えなど、"ただいま"と帰りたくなる家庭づくりをすすめる活動をしているNPO法人tadaima!の代表・三木智有さんにお話を聞いた。

●「ちょっとやったくらいで、全部できるつもりにならないでよ」

 夫が家事・育児を行った際に怒る妻の、イライラの原因はいったい何なのだろうか。三木さんは、家事・育児について、夫婦間で意識の違いがあるのではと指摘する。
「僕はよく、夫婦を長距離走者と短距離走者にたとえます。女性にとって家事や育児はマラソンのような『長距離走』で、ゴールはずっと先にあるものです。一方で、男性の家事・育児はいわば短距離走。一度に走る距離、つまり一度にやる家事、育児は少ないですよね。にもかかわらず男性は、『距離は違うかもしれないけど同じ走る競技でしょ?』『短距離を走れたんだから、時間さえあれば長距離だって走れる』という自信にも似た感覚があるんです。女性からしてみれば『100m走ったくらいで私と同じ42.195km走れると思わないでくれる?』という思いが強いので、反感は買いやすいですよね」。

 

 平日は仕事で忙しい分、土日に子どもの相手をしているという男性は多いだろう。限られた時間の中で積極的に育児に関わり、オムツ替えもできる、離乳食も作れる、子どもとの仲も良いというお父さんたちは、いわゆる「イクメン」としてこれまでは世間的にポジティブにとらえられてきた。しかし、妻主体の家事・育児という構図は多くの家庭で変わらず存在しており、妻としては、自分がいつもやっていることを少しやっただけの夫が賞賛の対象になるというのは、納得がいかないということだろう。「ちょっとやったくらいで、全部できるつもりにならないでよ」と言いたくなるのもうなずける。
「ママさん側も、そういうパパさんに対して抱えているイライラとかモヤモヤを、うまく言語化できるわけではないんです。なので、『やってくれてありがたいんだけど、なんか違う気がする。でも何が違うのか分からないから、余計に腹が立つ』という状態になってしまっていると思います」。

 とはいえ、妻が多く負担している家事・育児を、夫婦でまったく平等に役割分担し直すのは難しい。やはり、女性ができることをそのまま男性ができるかというと必ずしもそうではないし、社会的なハードルも高い。だからこそ、三木さんは次のように話す。
「夫婦で違う距離を走っているんだ、という意識を、パパさん側が持つ必要があると思います。もちろん理想は“同じ長距離を走ること”なんですが、まずはその認識があるだけでも、ママさんのイライラは少なくなるのではと思います」。

次のページ 「ちゃんと完結させてほしい」