大阪市海老江に位置する「魚庵」。定期的にイベントを開催しているのでHPもチェックして頂きたい。

「私たち、魚に本気です」
鯖寿司激戦区にある棒寿司・漬け魚専門店

2015年、大阪市海老江に開店した棒寿司・漬け魚専門店「魚庵」。
HPに躍る「私たち、魚に本気です」というキャッチコピーどおり、魚に対してひたむきな情熱を注ぐのは、シンセンフードテック魚庵事業部部長の赤堀太郎さん。
赤堀さんは大学卒業後、水産系の商社に就職。アラスカやチリなど世界各地で魚の買付けや加工業務に携わっていた。

当時、「本当にいい魚は流通に回りづらい」というジレンマを抱えていた赤堀さん。『スーパーでは魚は一定のサイズ、そして安くなければ扱ってもらえません。大きい魚は、美味しいにも関わらず、商品にならない。魚の特性を無視しなければならないことが苦痛でした』。

最高の魚を、最高の商品として送り届けたい。
その想いをもって、商社時代の先輩とともに立ち上げたのが「魚庵」だ。

赤堀太郎さん。魚食文化を発信していきたいと意欲を燃やす。

 「至高の鯖」探しの末に出会った2種類のサバ

看板料理は鯖寿司でいこう、と決まった。
しかし、大阪といえば鯖寿司の激戦区。
『だからこそ、誰も作ったことがない鯖寿司を完成させようと考えました』。赤堀さんは商社勤務ののち、食品宅配事業を展開する「オイシックス」で北は北海道、南は九州まで日本各地の漁場を巡り、商品開発を行っていた。
その経験をいかして、「至高の鯖」を探し続けた。

全国の鯖を試した結果、選ばれたのは「泳ぎ鯖」と「金華さば」。
赤堀さんいわく「味わいが極端に違う鯖」2種類で勝負することにしたのだ。
「泳ぎ鯖」は、大分県と愛媛県にはさまれた豊後水道で育った鯖。
『身が締まり、旨みが強く、青魚特有のクセがないのが特徴です』。
そして、宮城県金華山沖で獲れたバツグンの脂のりを誇る「金華さば」だ。『脂が豊富でも、その脂が口の中ですっと溶ける味わいが魅力です』。

「食感、さわやかな味わい」と「濃厚な脂のり」。
まさに白ワインと赤ワインのような鯖、それぞれの味わいを活かす鯖寿司を作り上げることにしたのだ。
さらに赤堀さんのこだわりは「どこの鯖か」だけで終わらない。
「どんなコンディションか」を追求し、その鯖のポテンシャルを最高に引き出すことを重要視した。

泳ぎ鯖は大分から生きたまま、店頭の生簀に運ばれる。

泳ぎ鯖は、大分で水揚げされた鯖を「生きたまま」店に運ぶ。「刺身」ではなく「寿司」にするのに、である。
『泳ぎ鯖は新鮮さをいかした寿司に仕上げたい。また魚は、締めた瞬間からタンパクの分解がはじまるので、旨みを増やすためにはその『瞬間』のタイミングが重要です。だから、店で生から作る必要があるんです』
 

一方、金華さばは大きさにとことんこだわった。なんとそのサイズは800~900gオーバー! 躍動感にあふれる身質、極上の脂のりを満喫するならやはりこのサイズ。しかしこんな代物には、なかなかお目にかかれるものではない。「魚庵」ならでは、である。