日本の軍部独走・侵略史観に基づく悪玉扱い、逆の「日本は悪くなかった、悪いのは周りの大国だ」という日本小国史観、海外大国による外圧・陰謀史観。これらの歴史観はすべて間違いだ。『学校では教えられない 歴史講義 満洲事変 ~世界と日本の歴史を変えた二日間 』を上梓した倉山満氏が満洲事変の真実に迫る!
ウィリアム・タフト(1857年~1930年)

■引っ掻き回し屋のアメリカ

 辛亥革命の後、中華民国が建国され、事実上無法地帯になっているものですから、日露英列強は自分の勢力圏は自分で守ろう、ということになります。そしてそういう混乱状態のところに乱入してきたのが、アメリカです。

 日露戦争時のセオドア・ルーズベルトは比較的抑制が効いていましたが、次のウィリアム・タフトは、軍事力のかわりに札束を振り回す大統領でした。セオドア・ルーズベルトの「棍棒外交」に対して、「ドル外交」と言われています。

 セオドア・ルーズベルトは前大統領という立場から、タフト外交を懸念していました。それでも、タフトは日本に喧嘩を売るまでの馬鹿なことはしませんでした。

 ところがここに、ウッドロー・ウィルソンという大統領が登場します。つけられたキャッチフレーズが「宣教師外交」です。自分が頭のなかで考えた正義だけをふりかざします。

 ウィルソン大統領は、列強との国際協調をかたっぱしから無視していきます。日英露独仏の他の大国を無視して、自分だけさっさと中華民国を承認したりします。中華民国建国翌年の話です。

 日本近代史家は英米一体という前提に疑問を持つことなく、「当時の日本は英米中心の国際秩序に逆らった云々」とおっしゃいます。まったく違います。

 
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