プレッシャーを避けるではなく、うまく利用する――。日々重圧の中で戦う日本のビジネスマンに向け、現在ラグビーイングランド代表で指揮をとるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)がアドバイスを送る。特別連載第2回。

■試合前とハーフタイムに何を言うか。メモを作る

――メディアから受ける批判など自分自身の力でコントロールできない事に対する心配はないが、“結果”に対しては自分の内からくる大きなプレッシャーを感じると語るジョーンズ氏。では、そういったプレッシャーには、どのように対処しているのか?

 

 今でも試合前には緊張するが、自分なりのルーティンを確立して対処している。試合日は、まずは朝ジムで汗を流す。その後で試合前のミーティングで選手たちに何を言うかを纏めたメモを作る。ここで、試合の細かい状況などを一人で考える。それから、コーチ陣、選手と合流し、試合前の準備を進めていく。私はこうしたルーティンを監督を生業にしてから確立した。

 試合の日に監督として出来ることは、試合前とハーフタイムの二度の機会に、選手に何かを言うことだけ。こうした場面での選手へのメッセージは非常に大切なので、試合の数日前から考えてメモを取っておくこともある。それを試合当日の朝に微調整をしたりして完成させる。このようなルーティンが私の心を落ち着かせてくれる。

――考えるべきことと、そうでないことをハッキリと切り分け、考えるべきことについてはしっかり考え、徹底的に準備を進める。

 これも、ビジネスマンの皆さんに関係するような例で言うと、例えば、多くの人の前でプレゼンテーションを行うとき。緊張したりプレッシャーを感じたりする人は、とにかく万全の準備をすることのみに注力すべきだ。

 ここで重要なのは、万全の準備をして挑んだプレゼンテーションで、聞いている人がどう感じるかを心配し過ぎてはいけないということ。勿論、プレゼンテーションなどは、聞き手の立場を考えて準備するべきだが、多くの人を相手にしている場合、一定数その内容を良く思わない人が出てきてしまうのは仕方ないのだ。自分の周りにいる全ての人をハッピーにするのは非常に難しい事であり、それが出来ない事に対して過剰な心配をするのは生産的ではない。

 

 一番大事なのは、周囲の人がどんな意見を持とうと、自分が最高のパフォーマンスを発揮すること。この為に自分で出来ることを全てやる。儀式のようであるが、大事な場面の前にいつも行うルーティンというものには、心理学の専門家からも効果が証明されている。こうして私は、プレッシャーというものに対処している。