第四部 我執をいかに捨てるか
六十一章 大国は下流である

大國者下流。    

★下流の勧め

 

 初夏の爽やかな緑が太陽に輝き、すべての植物が生き生きと生長する季節を迎えました。間もなく来る梅雨の長雨も、水の恵みと考えれば、感謝の気持ちが湧いて来ます。今月の『老子』は第六十一章、「大国は下流なり」です。この章は読んで字の如く、大国というものは川の下流、つまりすべての川が注ぎ込む大海のようであると説いています。大きな力のある国には、自然に人や物が流れ込んで来るからです。また大国が小国を傘下に入れたければ、大国のほうが謙虚に受け入れの姿勢を示せば、小さい国もそれを受けてさらに腰を低くして向かいますから、大国は勢力範囲を広げる事が出来て、また小国は大国の庇護を受けて国の安全を保ち、経済発展の道を行く事が出来、これこそ天地自然の陰陽調和の姿であるというのです。これは国と国の政治の問題ばかりでなく、大企業と小企業、上司と部下、先生と生徒、親子の関係などに置き換えてみると、私達の身近な生き方への答えが見えてきます。

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