D51はC57よりはパワーがあるので、峠越えは、比較的スムーズだったようだ。トンネルを抜けて下り坂となり、古びた給水塔のある篠目駅で小休止。しばらくは平坦なところを通る。紅葉の名所である長門峡駅を発車すると、鉄橋を渡る。このあたりも撮影名所で、乗車翌日は、ここで撮り鉄を試みた。

乗車翌日のSLやまぐち号(長門峡駅を発車直後)

 新山口駅を出て1時間。お腹が空いてきたので、SL弁当の包みをほどいた。ボックス席には大きめのテーブルが付いているので窮屈な思いをしないで済む。のどかな田園風景を眺めつつ、汽笛を耳にしながら食べる昼食は極上の気分だ。

 お弁当を食べ終わる頃に地福駅に到着。ここでは14分停車する。広い上に、駅舎へ向かう構内踏切に立って機関車をバックに記念写真が撮れるので、仁保駅よりも大勢の乗客でごった返していた。

仁保駅で小休止

 地福を発車すると鍋倉、徳佐とこまめに停まる。徳佐駅のあたりは、線路際にリンゴ園がある。西日本では有数のりんごの産地で、他の土地のものよりも甘いのが特徴だ。先ほど食べたSL弁当にもデザートとしてりんごが一切れ入っていた。機会があれば、ここのりんごを丸ごと食べてみたいものである。
徳佐駅を出ると、有名なSL撮影地を通過する。今日もギャラリーの数は多い。

 D51は汽笛を鳴らして応える。船平山駅を通過すると、新山口を出て以来2度目の山越えだ。すぐに長大な白井トンネルに突入する。ここを出ると山口県ではなく島根県である。山の中で短いトンネルをいくつも通り過ぎるうちに、次第次第に家並が増え、高度も少しずつ下がってくる。あたかも飛行機が着陸するときのように、眼下に見えていた赤茶色の石州瓦で覆われた津和野の町が間近に迫ってきた。津和野川を渡ると、列車はスピードを落とし、ゆっくりと津和野駅に滑り込んでいく。

津和野駅

 「到着後、20分程で機関車が転車台に載って向きを変えます」との放送があったので、改札口を出て左に進む。早々と機関車は動き出したが、まずは客車を側線に移動させる作業が行われる。踏切近くまで進んだ列車は、一旦停止の後、ゆっくりとバックして駅舎脇の1番線に入る。その間に踏切を渡って、転車台を見学するスペースへ。やがて、客車を切り離して身軽になった機関車は、行ったり来たりしながら、ようやく転車台の前へやってきた。そして大勢のギャラリーの前で転車台に載り、90度転回して、排煙装置のあるスポットに収まる。ここでしばし休憩しながら給水給炭作業や点検を行い帰路に備える。

転車台に載ったD51
津和野を発車して山越えに挑む上りのSLやまぐち号

 15時45分、新山口行きのSLやまぐち号は大きな汽笛を鳴らしながら発車した。その数分後、津和野の町はずれにある踏切を通過する列車を見送った。汽車は右にカーブして勾配を上り、煙を残しながら遠ざかっていく。その姿が見えなくなってからも汽笛が山間にこだましていた。

タイトルの誤記を修正いたしました。(2018年5月26日14:05更新)