NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンのシグニチャーモデルとして生まれた〈AIR JORDAN〉。誕生から30年を超え、その背景や物語を知らずにファッションアイテムの一つとして楽しむ世代も増えてきた。そんな「マイケル・ジョーダンを知らない世代」のためのエアジョーダン基礎講座として、今なお続くナンバリングを順に振り返りながら、歴史を紐解いていきたい。

第16回は、2000年発売の「AIR JORDAN 16」。
過激な前作とはうって変わり、AJ16は比較的オーソドックスなデザインでまとめられている。このモデルは「時代をリードしてきた」歴代AJのデザインエッセンスを各地に使っているのが特徴で、AJとしては初めて当初からオフコートでの使用を想定している。

 

過去のデザインソールを融合し
AJのヘリテージを物語る16代目

写真を拡大 アッパーの大部分を覆うカバーは、ジッパーで開閉できる。ジッパーの横にジャンプマンロゴが入る。そして、ビジブルエアをフルレングスタイプにして復活させた。エア窓にはJORDANの文字が描かれている。

カバーの脱着で、オンとオフを切り替える

 AJ16のデザインのテーマは「トランジョン」。この言葉には「変遷」や「過渡期」といった意味があるが、このモデルの各部には歴代AJの特徴的な仕様が見られる。
 たとえば、ミッドカットはそれを最初に採用したAJ3へのオマージュ。さらに、アッパーのメッシュはAJ5、エナメルレザー製のつま先はAJ11といった具合に、多くの人に愛されたAJのディテールをひとつに集約しているのだ。さらに、AJ6以来となるビジブルエアの復活も、そうした過去へのオマージュからのものだと言える。
 また、アッパーのカバーは、脱着することでシューズをオフコート用からオンコート用へと「変身」させる狙いがある。しかし、主を失っていた時期だからなのか23のナンバリングは、このAJ16には使われていない。なお、このモデルが発売された頃、MJはワシントン・ウィザーズのオーナーとなっており、'01年には2度目の現役復帰を果たす。

 

機能よりもむしろ「見た目重視」のデザインを特徴とする

写真を拡大 カバーを着脱することで、異なる表情を見せるという、シリーズでも随一のユニークなギミックが特徴。

 これまでのモデルと比べると、テクノロジー面での大きな進化は見られない。ビジブルエアは、フォアフットのズームエアとヒールエアを組み合わせたもの。また、カバーを外すと、メッシュ製のアッパーが現れるが、これがシューズ全体の軽量化に貢献している。会うとソールは一部がクリア仕様になっているが、これも過去のモデルへのオマージュから採用したものだと思われる。全体的にシンプルな分、履きやすいモデルだと言えるだろう。

その後、カバーのないローカットも発売された

写真を拡大 ハイカットで採用されたカバーは、'01年に発売されたローカットでは排されている。

 もっともAJらしい「ブルズ」をファーストカラーに。ウィートバッグを使って、よりストリートで履きやすくしたモデルもラインナップされた。続いて登場したローカットは、カバーを廃すことで幾分すっきりとした印象に。折り返した履き口部分にジャンプマンロゴを入れて、デザイン上のアクセントにしている。

*参考文献『スニーカーJack Premium「まるごと1冊エアジョーダン23周年』(小社刊)