サッカー以外のことを考える

 

 新年明けましておめでとうございます。2014年も浦和レッズ、未来日記そして柏木陽介を宜しくお願いします!

 どんな人間も失敗したり、挫折したり、苦い経験をしたことがあるはず。僕の人生も例外ではなく、挫折の連続。後悔した思い出を挙げたら本当にキリがない。そのくらい挫折だらけのサッカー人生だ。

 今回は、僕なりに見つけた「失敗の克服法」を書いてみたいと思う。

 新年を迎え心機一転、どうやって失敗を実りあるものへと変えることができるか参考になれば嬉しい。

 たとえば、サッカーをしていたら、試合で負けた経験は誰でも味わったことがあるだろう。僕は決まって夜、眠れなくなる。悔しくて、つい「何で負けたんだろう」って思い出してしまうのだ。

 そんな悔しい思いをしたとき、僕はどのように克服するか。その方法は簡単。

 サッカー以外のことを考える。

 僕は性格的にずるずるとネガティブになってしまうタイプの人間だ。だから、サッカーの試合でダメだったとき、その日の夜はずっと寝られない。ふとんに入って目をつぶると、その日のダメだった自分のプレーが浮かんでくる。

 電気を消してもその繰り返しだから、本当に眠たくなるまで待たないと寝付けない。いつも11時から12時ぐらいに寝ているんだけど、そうこうしているうちに1~2時間が過ぎてしまう。試合後で身体はひどく疲れているのに寝られないから、本当にシンドイ。

 もちろん、試合に勝ったときはぐっすり眠れる。同じように負けてもすぐに気持ちを切り替えられるようにしたいけれど…悪いイメージをずっと引きずってしまう。

なんであんなプレーをしてしまったんだろう…

どうしてあそこでミスをしてしまったのか!

 ひとりでいると、そんなネガティブなことばかりを考えてしまうのだ。だから、試合に負けたあとは、友人と食事をしたりして時間を過ごしている。あえてサッカーとは関係のない友人と会うことで、頭をリフレッシュさせるようにしている。

 なるべくサッカーを知らない人と会って、サッカーのことを忘れる。なかでも、ポジティブな考えを持った人と会ってサッカー以外の話をしているとすごくリフレッシュできる。

 社会で働いいる人だって、仕事でなにか“失敗”して嫌なことがあっても、次の日また仕事場に行けば思い出してしまうかもしれない。

 だから嫌なことがあったら、違う職業の人と会って気分転換するのはどうだろう。面白い人と会って、笑って楽しい時間を過ごしてみることをオススメしたい。

 

気持ちは引力

 

 昨シーズンも、いろんな“失敗”を経験した。そのひとつがリーグ序盤戦に起きた。

 じつは当時、僕は絶不調に陥っていた。とにかくパフォーマンスが安定せず、試合を重ねれば重ねるほど、僕の気持ちはどんどん落ちていった。

 その一方で、チームは開幕から4勝1分とスタートダッシュを切れていた。チームの雰囲気はとても良かったのに、自分ひとりがなぜか“笑顔”でいられなかった。

 チームが勝って嬉しいはずなのに、なぜか気持ちが乗ってこない。自分自身に自信が持てなくて、試合のなかでボールに触ることすら怖くなっていた。

「最悪だ…このままじゃ、ヤバい」

 日々の生活から“笑顔”が消えている…客観的に見ても、自分のことをそう感じるようになった。

 そんな矢先、自分の頭のなかで思い出されたのが、サンフレッチェ広島ユース時代の恩師である、ゴリさん(森山佳郎)の言葉だった。

気持ちは引力だ。気持ちの持ちようで、なんでも物事は良い方向へ行くんだ

 この言葉を思い出し、心機一転、「とにかく今日からは笑顔でサッカーをしよう!」と気持ちを切り替えるようにした。

 その2日後に迎えたJリーグ6節、ホームの湘南戦。ピッチ上の自分に“変化”が起きていた。

「サッカーが楽しい!」

 

 自然とそう思えている自分がいて、気がつけば、みずからいろんなところに顔を出してはボールをもらいに行っていたのだ。

 そして、前半30分に僕のスルーパスから慎三のレッズ移籍後初ゴールを演出できて、後半28分には右CKから左足でファーサイドのサイドネットへ直接ゴールを決めた。とにかくあの試合は、なぜだか自分のイメージどおりにプレーができて、すごくサッカーを楽しめた。

 それにしても、プロになってからも、ゴリさんの言葉に救われるとは…。もし、僕のようにメンタルを克服したいと思っている人がいたら、こうして「恩師の言葉」を思い出してみるのもいいかもしれない。

 

必ず勝負弱さを克服する!

 

 本当に昨シーズンは“失敗”から多くのことを学んだ。サッカー選手としてだけではなく、人間としても成長できたような気がする。

 序盤戦での“失敗”がキッカケでゴリさんの教えを思い出すことができて、ポジティブにサッカーに取り組めるようになった。その後は徐々にプレーにも安定感が出てきて、ゴールやアシストといった数字もついてくるようになった。

 しかし、個人のパフォーマンスが上がってきたと思ったら、それに反比例するように、シーズン中盤になると今度はチームのパフォーマンスが不安定になっていった。

 自分自身とチームのパフォーマンスを重ねてみると、お互いが安定していたという“時間”が本当に少なかった。どっちもシンドイけれど、いま改めて振り返ってみると、自分の調子が悪くても、チームが勝っているほうが良かった

 タイトルを取るためにはなによりチームの勝利が大事。タイトルを逃したあの悔しさをもう二度と味わいたくないから。

 サンフレッチェ時代に感じていた感情とは全く違うものだった。サンフレッチェファンの人が聞いたら怒るかもしれない。だけど、あのときは、自分のプレーさえ良ければいいかなというスタンスでサッカーをしていた。

 でも、いまはそれで満足がいかない柏木陽介がいる

 もしかしたらその分だけ、大人になれたのかもしれない。

 自分よりもチームが勝ってくれれば、それでいい――。去年1年を経験して、そういう気持ちを強く持てるようになった。

 そういう意味で、昨シーズンはレッズというクラブの偉大さを知ることができた1年だったともいえる。それと同時に、優勝をつかめるチャンスがあったなかで、それを逃してしまった自分たちの勝負弱さを露呈したシーズンでもあった。

 この失敗(課題)をどう克服するか――

 僕にとってもチームにとっても、2014年はとても大事な1年になる。

 今年の「未来日記」には、必ず「勝負弱さを克服した!」と書き込むつもりだ。

 今シーズンにかける意気込みを伝えさせてもらったところで、今回はここまで。それではまた2週間後!

 

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