NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンのシグニチャーモデルとして生まれた〈AIR JORDAN〉。誕生から30年を超え、その背景や物語を知らずにファッションアイテムの一つとして楽しむ世代も増えてきた。そんな「マイケル・ジョーダンを知らない世代」のためのエアジョーダン基礎講座として、今なお続くナンバリングを順に振り返りながら、歴史を紐解いていきたい。

第19回は、2004年発売の「AIR JORDAN 19」。
今度こそ本当にマイケル・ジョーダンはNBAを引退してしまった。そういう意味で、エアジョーダンXIXは名実ともに大々的なデザイン&コンセプトチェンジを迫られることになる。

 

主を失ったエアジョーダンが
見出した活路は「黒い毒ヘビ」

写真を拡大 「XIX」と大きく型抜きされたスペシャルBOX。中には「nineteen」と見出しを打った機能解説書が入れられ、AJ19のデザイン上の大きな特徴となるメッシュカバーの取り外し方法が説明される。

MJの影を拭い去るべく、試行錯誤が感じられる

 マイケル・ジョーダンという主を失ってしまったダメージを、いかにして最小限にとどめるか?AJデザイナー陣が苦慮した跡が見られる1足。実試合ではジョーダン・ブランド契約選手の中で最も有望なカーメロ・アンソニーが履くことになったが、やはりモデル名とのミスマッチはまぬがれなかった。
 これまでのAJというと、ジョーダンが好きな要素をデザインに落とし込んきたが、今回は趣旨を変えデザインソースは「ブラックマンバ(黒い毒蛇)」。アスリートで粘り強く勝ちに持ち込む選手をこう呼ぶところから来ているが、デザイン上ポイントとなる「テックフレソクス」という新素材で編まれたメッシュカバーのイメージも大きかったと思われる。結局、このメッシュカバーはシリアスプレーヤーに受けが悪く、後にカバーなしの「SE」エディションが追加された。とはいえ、履き心地やバスケットプレー時の性能は評価が高く、特にダブルスタック・ズームエアの履き心地はも語り継がれる名品だ。

 

エアプレストテントから受け継ぐカバーが特徴

写真を拡大 カバー付きのレギュラー、そしてカバーなしの「SE」モデルの2パターンが存在。

 なんといってもデザインポイントはレギュラーモデルのメッシュカバー。AJ18までのシュレースカバーをメッシュ化したものだが、大型で完全に取り外すことができないため、結局カバーなしの「SE」が登場することになる。「SE」やローカットでもタンに 「テックフレックス」が採用され、通気性を確保。エアシステムもAJ18の2枚重ねズームエアからヒールのみ2枚重ねのダブルスタック方式に変更された。

ハプニングで激レアモデルに化けた1stカラー

写真を拡大 アテネ五輪時にオリジナルが発売されたこともあり、オリンピックエディションも存在。

 1stカラー時に「工場の問題」で生産量が大幅に削られ、全米ではかなりのパニックに陥ったAJ19。この白×グレーは日本正規発売も見送られている隠れたレア種。誰もが履きやすいローカットにダブルスタック・ズームエア搭載が望まれたが、残念ながら実現されず。結局都市カラーなども投入されたが、人気復活とはならなかった。

写真を拡大 AJ19にはレギュラーで都市限定3色。SEで都市限定+オリンピックモデルが存在する。都市限定モデルには西海岸/中西部/東海岸がラインナップし、それぞれタン裏に記載がある。

*参考文献『スニーカーJack Premium「まるごと1冊エアジョーダン23周年』(小社刊)