■志士たちが今の日本を見たら激怒するに違いない

 

 志士たちは、黒船襲来と不平等条約という、西欧の軍事力・経済力を背景とした拒むことのできない現実を目の当たりにして、必死で国の行く末を考えたわけです。

 当初は幕府の対応が弱腰で国を危うくすると解釈し、尊皇攘夷運動が起こりました。しかし、当時の日本の力ではどうしても攘夷ができないとわかると、今度は大胆に、なりふり構わず西欧の文明を受け入れて、国を強くしようと考えました。

 この過程で国内では争いが起こりましたが、決して日本という国を潰すような動きになならなかったわけです。明治維新を経て「オールジャパン」でまとまり、本当に強い国を作ることに成功して、初めて志士たちが歯ぎしりしていた不平等条約をすべて解消することができたわけです。

――なぜ、志士は今の日本に幻滅すると思うのですか?

 どう考えても不平等な「日本国憲法」を、そのまま放置しているからです。

 特に、戦力の不保持は志士であれば絶対に受け入れられない条項です。考えてみてください。彼らは当時、持ちたくても戦力を持てなかった。財力も技術もなく、圧倒的な戦力差に歯ぎしりした。それでもいったんは攘夷をしてみたら、あっという間に実力の違いを見せつけられてしまったわけです。その悔しさを晴らし、国を決して奪われないために幕府を倒し、富国強兵に励み、実に50年の歳月をかけ不平等条約を解消したのです。そのとき、明治維新はやっと終わったのだと思います。幕府を倒した目的を達成したわけですから。

 ところが、今の日本人は、不平等条約解消が何年のことだったのか、ほとんど知りません。そもそも明治維新の目的が何だったのかすら、忘れてしまっています。志士をチヤホヤし、一方的に尊敬するのは自由ですが、なぜ若い彼らが命をかけてあの時代を生きたのか、明治という時代になりふり構わぬ富国強兵の道を走ったのか、そこへの理解がなければ、明治150年などただのかけ声に過ぎませんよ。私は、この点を強く訴えるために本を書くことにしたのです。