■なぜ中国・朝鮮半島は「維新」ができなかったのか?

 

――日本だけが近代化できて、中国や朝鮮半島ではなぜできなかったのでしょうか?

 日本には、天与の地政学的有利さがあったことは確かです。ただ、それ以上に大きかったのは、危機に当たって「オールジャパン」としてまとまれる強さです。

 人には性別や出身地、職業、豊かさや学歴などさまざまな違いがあります。歴史のある国ほど、それぞれの階層間を相互に行き来することは難しく、むしろ反目し合います。

 しかし、日本には万世一系の天皇が存在し、常にその任命のもとに政権が作られてきました。王朝ごと入れ替わってきた中韓とは大きな差があります。

 結果として、中韓は「儒教」の精神を重視しすぎ、日本には当たり前に存在している道徳心や倫理観が失われてしまいました。自分とその周辺だけを守って、他者、他グループを攻撃し、排除、排斥する文化になってしまったわけです。もちろん、庶民に手厚い教育など施しませんし、庶民の親もわざわざ子どもを教育しようなどと思いません。

 しかし日本は、平和で「平等」だった江戸時代に教育が普及しました。産業も大いに発達しました。これには鎖国下、そして開国直後の日本を訪れた多くの西欧人が驚きとともに書き残している事実です。こうしたことを、今回の本で改めて感じました。

 日本は鎖国をしていたにもかかわらず、すでにスイッチさえ押されればいつでも国力をまとめ、近代化できる状態にあったわけです。この点について、私は江戸時代を積極的に評価するべきだと思います。