志士にあこがれ、志士を賞賛し、志士を尊敬する日本人。しかしケント・ギルバート氏は、最新刊『世界に誇れる明治維新の精神』(ベスト新書)で、そうした無邪気な日本人に心からの忠告を発している。現代の日本人は、志士たちの覚悟をくみ取っているのだろうか?

■志士たちはただ戦っただけではなかった

 

――ケントさんは、改めて日本人の志士好きをどうご覧になりますか?

 表面的に過ぎると感じています。若くして散った志士たちが志を知られず、アイドルのように扱われているのは気の毒です。

 維新の志士たち、明治の功臣たちを尊敬するなら、ぜひ彼らが抱いていた焦燥感、国を守るためのヒリヒリとするような思いを感じていただきたいのです。私はそのためにこの本を書いたのです。

 志士たちはなぜ美しいのでしょうか。インターネットはおろか、テレビも電話も電気もない時代に、志士たちは、外国の圧倒的な力によって自分たちの国が植民地にされかねないという危機感を抱きました。ある者は幕府の弱腰を批判しました。ある者は西欧とうまくやっていくべきだと主張しました。ある者は幕府を守り、ある者は幕府を倒そうとしました。その立場はあまりにも違いましたが、彼らはすべて「祖国を守るには何をすればいいのか」を真剣に考え、その方法を争いました。そこには、真剣な議論、論争があったわけです。

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