日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。
 

 7月7日は、七夕である。七夕には、日本各地で笹に短冊を提げたシーンが見られる。七夕は、元来中国での行事であったが、奈良時代に日本に伝わったと言われている。今日では、七夕の夜に、願いを短冊に書いて笹に飾ることが一般的であるが、笹に短冊を飾るようになったのは江戸時代からとも言われている。

 ところで、名字にも七夕(たなばた)がある。全国に約80軒の希少な名字であり、多くは鹿児島県指宿市に住んでいる。愛知県名古屋市に七夕町の地名があるので、その地名が由来とも考えられるが、田幡や田之端の地名姓を七夕にあやかって「七夕」の文字に変えたことも考えられる。

 

 また、福岡県小郡市には七夕神社があり、同じ九州であることから神社に関係があって生まれた名字とも考えられる。鹿児島県は戦国大名島津氏の本拠地であるが、島津氏は様々な名字を考えて与えたと言われているので、「七夕」の名字ももしかすると七夕にちなんで与えた可能性もある。七夕にちなんだ名字では、他にも「天野川(あまのがわ)」という名字も和歌山県に存在している。長崎県佐世保市には牽牛崎という地名が、群馬県桐生市には織姫町という地名があるので、「牽牛(けんぎゅう)」と「織姫(おりひめ)」の名字も期待したが発見できていない。七夕の夜は、夜空を眺めるので、それらに関する名字では、星(ほし)や星座(せいざ)・月星(つきほし)等の名字も存在している。本名か芸名か分からないが、岐阜県の電話帳には流星(ながれぼし)さんもおられる。