新刊『バカだけど日本のこと考えてみました』を上梓したつるの剛士氏が同書で読者に提案した「検索よりも探索」とは?

■「探索」して芸能界に入る

――『バカだけど日本のこと考えてみました』には「検索よりも探索」という印象深いフレーズがありますが、つるのさん自身はどのようなことを「探索」してきましたか?

 

つるの:今の世の中はインターネットを検索すれば、いろいろな情報が簡単に手に入ります。でも、それはあくまでも「他人の答え」。本当に大切にすべきは、自分が身をもって体験したり、足を使って得たりした情報、つまり「探索」によって手に入れた「自分なりの答え」だと僕は思っています。この本で書いた「検索よりも探索」というフレーズはそういう意味です。

 これまで僕は、基本的にはすべて自分なりに「探索」してきたつもりです。もちろん、まったく「検索」しないわけじゃありませんが、趣味も子育ても基本的にはすべて自己流。ネットはもちろん、テレビや本で紹介されている方法も、あまり参考にはしていません。確かに効率は悪いかもしれませんが、自分なりにあれこれ考えながら「今度はこれを試してみようかな」というスタンスでやったほうが圧倒的に楽しいし、うまくいった時には達成感もあるので。

 当時は今ほど情報がなかったという事情もありますが、芸能界に入る際もけっこう「探索」した記憶があります。自分でオーディション情報を集めて応募しまくったり、芸能事務所に履歴書を送りまくったり。芸能界の入り方がよくわからなかったから、とにかく自分でできそうなことは何でもチャレンジしてみました。

「検索」に頼りすぎると「他人の答え」をたくさん集めただけでわかった気になってしまう怖さがあります。また、事前に調べすぎたために「難しそうだからやめとこう」と諦めてしまうこともあると思います。それってすごくもったいない。だから、僕は人に「検索よりも探索」をおススメしているんです。「探索」をしていると、失敗して傷ついたり、心が折れたりすることもありますが、得られるものが大きいですからね。
 

 

■カバーする時は原曲をあまり聞かない

つるの:僕は『つるのうた』をはじめ、何枚かカバーアルバムを出していますが、誰かの曲をカバーする際には、あまり原曲を聴かないようにしています。原曲を聴き込み過ぎると、それに引っ張られてモノマネになっちゃうと思うので。あくまでもカバーだから、やっぱり自分なりの歌い方を探さなきゃいけない。これも僕の「探索」のひとつだと思います。

 やっぱり原曲を歌っている歌手のみなさんは、本当に歌唱力がすごいですからね。これまで歌の勉強もしたこともなければ、本格的なボイストレーニングをしたこともない僕が普通に歌っても全然かないません。だから、僕は僕で、過去にみんなから「つるのさんらしくて良いですね」と評価してもらえたポイントを自分なりに整理して、それを前面に出すように努力しないといけない。そのためには、あんまり原曲を聴かないほうがいいなと思って、あえて聴かなかったんです。

 当時の歌声を今聴くと、我ながら下手クソだなと思うんですが、やっぱりあの時の自分にしか表現できなかった「何か」がそこにはあると思います。あの時の歌は、あの時にしか歌えない。技術の問題じゃなくて。でも、それは歌っている僕自身にはなかなかわからない。自分では「今のほうがいいのにな~」と思うんですけど、どうやらそうじゃないみたいです。だって、僕、前に人から言われたことありますから。「昔より上手くなってしまって残念」って(笑)。
 

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