この間、栗田は午後3時30分、これ以上の進撃は無理と判断し、一斉回頭を命じた。艦隊は西方に向け避退行動をとった。この時点で栗田はレイテ突入を真剣にあきらめたと言われる。事実、午後5時過ぎ、栗田は小柳富次参謀長に「もう引き返そう」と告げたと伝わる。

 海戦中、ルソン島北方に小沢機動部隊発見の報を受けたハルゼーは攻撃機に帰投を命じ、攻撃態勢を整えさせた。栗田は機影が消えたことから、再び東方へ針路を変更した。連合艦隊司令部からは午後6時13分、「天佑を確信し、全軍突撃せよ」の激励電が発せられた。西村艦隊は第7艦隊の駆逐隊の魚雷攻撃で全滅、第2遊撃部隊は戦闘らしい戦闘をしないまま、なぜかスリガオ海峡を遁走した(スリガオ海峡海戦)。

 25日午前7時50分ごろ、第3艦隊の攻撃隊が小沢機動部隊に襲いかかった。4次にわたる猛撃で「瑞(ずい)鶴(かく)」「瑞(ずい)鳳(ほう)」「千代田」の3空母が撃沈された。それでも囮としての使命は十分に果たした。

 栗田艦隊はサンベルナルジノ海峡を抜けて太平洋に出ると、サマール島を南下した。午前7時ごろ、前方に空母部隊を発見、「大和」をはじめとした艦隊の主砲が火を噴いた。栗田はハルゼー艦隊と思っていたが、実際には商船などを改造した護衛空母の部隊だった。