|社寺風駅舎とは?

 「社寺風駅舎」とは、神社や寺院を思わせる建築の駅舎のことをいう。
 社寺風駅舎はほぼ全国的に分布しているので、鉄道を使って寺社めぐりをされている方は一度ならず目にしていることと思う。しかし、古い駅舎は保存されることがまれで、どんどん現代風で画一的なものに建て替えられているので、見るなら今のうちだ。

ふるさとの駅100選」にも選ばれているJR弥彦線・弥彦駅


 社寺風駅舎は参詣気分を盛り上げてくれる旅の仕掛けであるが、大正5年(1916)に造られたJR弥彦駅駅舎のように、地元の信仰のシンボルでもある。
 それゆえ、有名寺社の最寄り駅は、駅舎を社寺風にしていなくても、どこかに寺社を思わせる装飾を入れていることが多い。たとえば、JRの成田駅は成田山の大きな提灯を掲げているし、京急の川崎大師駅は柱が朱色に塗られている。JR琴平駅には金刀比羅宮の社紋(神社の紋)がいたるところにつけられている。 彌彦神社の場合、燕三条駅の上越新幹線から弥彦線への乗り換え口にも彌彦神社の鳥居(模型)が立っており、弥彦線に乗る前から参詣への期待を高めている。

 金刀比羅宮の社紋を多数見ることができるJR土讃線・琴平駅

 

 

 

JR燕三条駅の弥彦線乗り換え口に立つ彌彦神社大鳥居のミニチュア

 ちなみに、現存する社寺風駅舎の中では、ネオルネサンス様式に社寺建築の要素を取り入れたJR日光駅が大正元年築で最古級だ。前述の弥彦駅や水間鉄道の水間観音駅(旧・水間駅、後述)、JR土讃線琴平駅も大正時代に建てられた。

大正元年(1912)完成のJR日光駅は現存する社寺風駅舎で最古級


 昭和初期にも名作が造られている。JR青梅線の御嶽駅、JR中央線の高尾駅(後述)、JR関西本線奈良駅の旧駅舎、小田急江の島線の片瀬江ノ島駅など。片瀬江ノ島駅は社寺風というより龍宮風で、電車で寺社を参詣して門前町で遊ぶことが花形レジャーだった頃の華やかさを今に伝えている。
 なお、JR飯田線の三河一宮駅は平成2年(1990)に建てられたものだが、細部の装飾まで社寺建築を模した凝った作りになっている。社寺風駅舎スピリットは今も生きているということだろうか。

竜宮城を模した片瀬江ノ島駅は小田急江ノ島線が開業した昭和4年(1929)に造られた

 

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