双方向メディアの先駆けともいえるビジネスモデルを確立した、ライブ配信サービス「SHOWROOM」。アイドルをはじめ、多くの表現者にとって重要なツールとなっている。また、処女作となるビジネス書『人生の勝算』(幻冬舎)もベストセラーに。今大注目の若手起業家・前田裕二さんにインタビュー。これまで前田さんが実践してきた会社員時代の働き方や、年齢との向き合い方などを聞いた。全3回。第1回はUBS証券時代の話。とくに若手ビジネスマンは必読!

「お客様の時間を増やす」という決意

「新卒で入った会社には、毎日朝5時に出社していました。全然、今どきじゃないですよね」

 

 新卒で入社したUBS証券時代の働き方を、そう笑いながら振り返る前田さん。電車が走り出す前から大手町のオフィスまで自転車で通勤し、マーケットが開く朝の9時までの4時間実務の下調べをし、9時からは、可能な限りお客さんに電話をかけていたという。

 前田さんが証券マンとして働いていたのは、約8年前。ちょうどワーク・ライフ・バランスが叫ばれ始めた時期でもあり、当時でも異色の新入社員だったようだ。

「5時出社は、入社前に自分に課したルールでした。当時の上司が、“我々の仕事はお客様の1日の24時間をどれだけ増やせるかが勝負だ”と教えてくれて。そこで、新卒の自分が、投資家の方々に提供できるものは何かを考えた時、まずは時間だ、と。短絡的ですよね(笑)でも本気で、『お客様の時間を増やすんだ』と決意して、投資家が必要とするであろう市況や銘柄の調査、分析をひたすらやっていました。皆が寝ている間に」

 しかし、前田さんは闇雲に早朝に出社していたわけではなく、一日でも早く目標とするポジションにつき、大きな裁量・挑戦権を得るための「5時出社」だった、と語る。

「とにかく、上昇志向が強く、下から会社全体を突き上げていきたいと渇望していました。そこで手始めに、目に見えて成果を上げている先輩達に、『なぜ先輩はそんなにアウトパフォームできているんですか』と、高い成果を上げている理由を直球で質問しました。すると、色々な答えが返ってきました。自分なりのマーケットの見方をノートにまとめて定期的にお客さんに送っている人もいれば、30年間株式マーケットを見続けていること、すなわち、これまでに積み上げた相場経験がもたらす『勘』が強みと答える人もいる。一方、チャートを使ったテクニカル分析が強みで、パラボリックや、トーマス・デマークによるTDシーケンシャルというちょっとマニアックな手法を教えてくれた先輩もいました。ただ、それらの教えをそのまま模倣しても、僕は決してユニークな存在にはなれない。ど新人の自分が、少しでも早く群衆から一歩抜け出すには何が必要か。自分が勝てる事は何か。この時、シンプルに、『物量』だと考えました」

 ただし、やみくもに時間を使っても仕方がない。何に対して、「物量」を割くのか。まず最初に前田さんは、「見極め作業」に最大限の時間をかけた。上司から受けたアドバイスを一通り自分でも試していく中で、自分にできる事とできない事、向いている事とそうでない事を明確に仕分ける。そして、自分が時間を割くべき差別化の方向性と、人材としての成長戦略を自ら見極めたのだ。

「幸運なことに、努力する社員にチャンスを与える組織の風土も相まって、気持ち良いスピード感で成果を上げることができました」

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