日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

 7月は、全国高校野球選手権大会の予選が全国各地で開催される。今年は、第100回の記念大会でもある。沖縄県を皮切りに、各地で熱戦が繰り広げられている。各都道府県の代表校が誇りを持って甲子園に出てくる。そこで、今回は野球に関係がありそうな名字を紹介したい。

 
 

 そもそも、野球が日本に入ってきたのは明治初期である。名字が完全に普及した時代には無かったスポーツなので、野球の名字は存在していない。しかし、発音などが、野球と関係していそうな名字がある。現在は強豪校だと他県からスカウトすることが多々あるので、必ずしも地元の出身者とは限らないが、昔はほとんどその地域の出身者であった。その中には、その県独自の珍しい名字もあった。私が一番印象に残っているのは、銚子商業の阿天坊(あてんぼう)選手である。文字では特に感じないが、場内アナウンスで、「バッター阿天坊(あてんぼう)君」と言ったら、どんなボールでもバットに当ててしまいそうな気がする。名前でピッチャーが動揺しそうだ。実際に、良い打撃をするバッターだった記憶がある。思い出に残っている選手名は阿天坊選手であるが、一方で、この名字では、逆に相手に自信を与えてしまうのではないかと思う名字を発見した。法華津(ほけつ)選手。アナウンスで、「4番、キャッチャー法華津(ほけつ)君」と言ったら、相手は、「補欠(ほけつ)か」とかえって安心してしまうようで面白い。他にも、番途(ばんと)・守(まもり)・走(はしり)等の名字もあり、こちらも、「2番、センター番途(ばんと)君」と聞いたら、バントでもするのかと勘違いしそうである。