■牡丹、菊、柳…線香花火の輝きには名前がついている

 大人になると、こうした手持ち花火をやる機会はグッと減ってしまう。子どもに付き合う程度で、身近に小さな子がいないと遊ぶ機会はほとんどないかもしれない。しかし、線香花火の美しさは、大人になった今こそ実感できるのではないだろうか。

 火をつけると先端が玉のようになり、ジリジリと音を立てる。そして、勢いよく火花を散らし、最後は細い線を描くように灯をともす。途中で玉が落ちても火花を散らすことがあり、そのはかなくも必死に輝く様はまるで人生のようだといわれることも。

 線香花火の輝きには、段階に応じて名前がつけられていることをご存じだろうか。最初の玉のような状態は「牡丹」、そこから元気よく火花を散らす「松葉」となり、勢いが落ち着いてきた頃合いを「柳」、細い火花は「菊」に例えられている。日本情緒が感じられる表現を知ると、花火の観方が変わってくるはずだ。

 誰が一番長く花火を楽しめるか競争するのも、線香花火の醍醐味である。できるだけ長持ちさせるには、火薬が詰まったところの少し上をひねってから着火。そして、真ん中より少し上を持ち、斜めに傾けるといいそうだ。この方法を教わり試したところ、安定することもあって玉が落ちることはなくなった。

 いまでは戸建て住宅でも、近隣住民に配慮して庭でも花火で遊びづらくなってきた。「花火禁止」という立札がある公園も多い。ルールやマナーを守ることは大事だけれど、花火で遊べる場所が減っているのは寂しく感じるものである。