■雑節の「二百十日」

 

 震災レベルの地震が頻発し、最近では西日本豪雨など台風による被害も相次いでいる。天災に見舞われることが多い日本で暮らすうえで、防災意識を持つことはとても重要だ。しかし、災害が起きた直後は意識するものの、時間が経つとともに忘れてしまいがちではないだろうか。

 災害に対する意識を改めて高めるために、9月1日の「防災の日」には、避難訓練などが開催される。9月1日は、1925(大正12)年に関東大震災が発生した日だ。未曾有の大災害から防災を学ぶという意味があるのはもちろんだが、じつはこの9月1日は、昔から災害に注意を払うべきとされてきた。

 立春から210日目の日は、雑節の「二百十日」とされ、9月1日に当たることが多い。稲の花が咲き、農業ではとても大事な時期なのだが、台風の襲来を警戒しなくてはならない時期でもある。この日の10日後も台風の被害が起きやすいとされ、「二百二十日」とされてきた。

 

 この2日間と八朔(旧暦8月1日)は農家の三大厄日ともいわれる。八朔には豊作を祈願し、世話になっている人に初穂を贈るなどの習わしがある。実りの秋を祝う祭りのように思えるかもしれないが、この時期は現代の暦でいえば8月の終わりから9月半ばごろとなり、やはり台風が多い時期と重なるのだ。

 今年は8月に大量の台風が発生し、各地に甚大な被害をもたらした。合計30弱の台風が発生するという予報もあり、これからも油断はできない。実際にどの程度の数の台風が発生するかはわからないが、筆者の地元では「スズメバチが民家の軒先や屋根裏に巣をつくるときは台風が多い」という言い伝えがある。

 台風の当たり年といわれるときには、スズメバチが祖母の家にある蔵に巣を作っていることが多い。今年もお盆に帰省した際に確認したところ、小さいながらもスズメバチの巣を発見した。こうした言い伝えに科学的根拠があるかは不明だが、体験的に得たことを次の代にも教え継いできたのだろう。

 台風だけでなく、災害はいつどこで起こるかはわからない。防災の日をきっかけに、防災グッズや避難場所を見直すなど、改めて意識してはいかがだろうか。