日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

■長寿にまつわる名字

 

 今年の9月17日は「敬老の日」である。敬老の日は、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨としている。日本では、年々男女とも平均寿命が延び、100歳を超える人が増えている。誠に喜ばしいことである。

 ところで、名字の中には、長寿を願って付けられたと思われるものも少なくはない。長寿(ちょうじゅ)をはじめ、長命(ちょうめい)・延命(えんめい)・長生(ちょうせい)・養老(ようろう)などがある。また、白髭(しらひげ)や白髪(しらが)という名字もある。これらの名字の由来は、寺や神社の名前からである。長寿は、長寿寺(神奈川県鎌倉市他)・長命は長命寺(滋賀県近江八幡市他)・延命は延命寺(大阪府河内長野市他)・長生は長生寺(山梨県都留市他)である。また、白髭は白鬚神社(滋賀県高島市他)が、白髪は古代の白髪部(しらかべ)という職業から生まれている。白髭や白髪は、いずれも「髪の毛などが白くなるまで長生きをする」という縁起を担いで付けられたものと思われる。養老については、岐阜県養老町にある養老寺と養老神社、または、養老という地名から生まれたものと思われる。養老寺と養老神社はすぐ近くにあり、養老という言葉を使った寺と神社が一緒にあるのは珍しい。養老という言葉は長寿を願う思いが強かったため付けられたものと思われる。この他、長老の象徴でもある翁(おきな)や姥(うば)という名字もある。翁長(おなが)や伯母(うば)・祖母井(うばがい)・祖母谷(うばがい)なども長寿ができそうな名字である。