「ブロックチェーンを活用した事業を立ち上げ~」「ブロックチェーンに巨額の投資を~」日々こうした企業のリリースを目にする。企業、そして国家レベルで熱が入るブロックチェーンというテクノロジー。しかし、あまりにビッグワードであるが故、わたしたち一人ひとりとどう関係するのか。そこが分かりづらいのだ。わたしたちの半径5メートルの生活をどう変えてくれるのだろう。『ブロックチェーンの描く未来』の著者であり、森川夢佑斗氏に話を聞いた。

■ユースケース自体は増えているが…

 

 ブロックチェーンのユースケース自体は徐々に増えてきている。たとえば、土地の権利書や身分証明などの「公証」を管理する分散型のプラットフォームや、個人が有する医療記録をブロックチェーン上に記録して、患者や医師、研究機関、保険会社で参照できるような仕組みも開発されている。前者はFactom(ファクトム)、後者はMedicalChainというプラットフォームを利用することになる。

 こうしたプラットフォームはすでにアプリがローンチされているが、実際にそれを利用するまでには、心理的にもユーザー体験的にも大きな壁がある。そこに面倒臭さを感じてしまうのだ。なぜだろうか。

 一つはキラーアプリケーションの不在だ。例えば「Suica」も電子マネーを使うために、緑色のカードというツールを用い、チャージなどを行わないといけない。しかし、それを面倒だと思う人はまずいない。つまるところ、Suicaが提供しているサービスの価値が現金できっぷを買うことよりも遥かに優れているからだ。ブロックチェーンの場合はビットコインが“キラーアプリケーション”と言えなくもなかったが、それに続くものが現れていない。

「フィリピンから日本にお金を送るというときに、ビットコインを使った国際送金であれば、本来数千円手数料がかかるところが、数十円とかで済む。これは利便性が高く、多くの人が利用している。でも、他にブロックチェーンにおける“圧倒的に便利なユースケース”が多くあるわけではない」

 前述のFactom(ファクトム)やMedicalChainも決定打ではない。

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