■相撲のタニマチを当たり、ヤクザに行き当たる

――今回の書籍にも登場しますヤクザへの取材もその頃に?

 昭和50年代の初め頃だったと思いますが、週刊ポストで相撲の八百長キャンペーンを展開していまして、かなり大きな事件だったので、私も取材要員として駆り出されました。相撲のタニマチを当たっていくと、最終的にはヤクザに行き当たるんですね。そのあたりから少しずつ繋がりができたというか、その世界を知るようになりました。

 非常に面白かったですよね。向こうも当然、私たちメディアに対して一目を置くんですよ。なぜかというと彼らは人気商売だから、悪くは書かれたくない。業界の人間が読むので、けなされたくはないんですね。

 向こうは多少プレッシャーをかけつつ、話を膨らませながらインタビューに答える。こちらはあくまで書き手としてのスタンスを崩さない。この一線を超えたらアウトなんですよ。なまじヤクザの世界を知っているからと話を合わせたり、親しくなってあちらの世界に足を踏み入れるとロクなことはない。記者という立場を崩さずに付き合っていました。

――そういう世界に触れてどのように感じましたか?

 学んだことはたくさんあります。私の本にもよく書くのですが、ヤクザというのはご存知のように暴力を背景にしている。それは、あくまで背景であって売り物ではないんですね。暴力は自分の武器ですが、それを使うと懲役に行かなくてはいけないからアウト。自分の一番の武器を使わずにして、どう使うかというのが彼らの技術なんです。だから脅したり、心理的駆け引きがうまい。そこは大したものでしたね。

〈第2回に続く〉