「戦う」という言葉とは相反する「大名行列」と、斬新なタイトルが付けられた新書『戦う大名行列』。著者である歴史家・乃至政彦氏は、一般的に儀礼の行列から発展したと考えられる「大名行列」の編成様式に注目。時代劇などでみられる「大名行列」はなんと戦闘が前提の縦列だった!? 知っていたはずの武将や陣形の概念が変わる? 乃至氏連続インタビュー第1回。

■戦国の陣形を調べていたら大名行列と繋がった?

 タイトルには「大名行列の起源を明らかにする」という意味を込めています。大名行列ができた頃は戦がないから「戦う」ということがあり得ない。しかしその起源が「戦い」にあるのは明らかである。ここに「戦う」とつけることで、大名行列の起源がどうだったのか? 読者のかたに疑問を持ってもらうためにつけました。

上杉謙信像

 もともと戦国時代の軍隊はよく研究されています。しかし「兵農分離」「兵役」など個別の研究はありますが、総合的な研究が専門の学者からはされてきませんでした。かといって、軍事に詳しい研究者も、戦国時代の総合的研究をやろうという意識はあまり見られない。力不足ながら自分で調べてようと思い、戦国時代の軍隊配置を追っていくと、そのうちだんだんと形があるものに見えてきた。さらに調べていくと、やがて上杉謙信の「陣立書」(合戦における部隊配置・編制を指示するために示した作戦指令文書)が見落とされているのに気づいたのです。どこか見覚えがあると思い、調べたら大名行列の資料にぶつかりました。

 そこから、戦国の軍隊を知るためにはまずは大名行列を見ようと思い立ち、それが本書を書くきっかけになりました。

 
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