■日米は何に合意したか

 まずは前編の内容をおさらいしておきましょう。
 9月26日、日米首脳会談において、日米貿易協定をめぐる交渉の開始が合意されました。これは普通、「物品貿易協定(Trade Agreements on goods, 略称TAG)」の交渉開始を意味するものと受け取られています。

 アメリカは以前より、わが国にたいして、二国間の自由貿易協定(Free Trade Agreement, 略称FTA)を要求してきました。TAGは物品の輸出入のみをめぐる協定ですが、FTAとなると、サービスや投資なども含まれます。

 これだけを取ると、TAGの交渉合意は「日本がアメリカの要求を退けた結果のもの」のように見えるかも知れません。

 ところがどっこい。首脳会談の後で出された共同声明には、以下の二点が謳われていました。

(1)サービスを含む他の分野についても、TAGと並行して、貿易協定の交渉を始める。

(2)上記の交渉が終わったら、投資を含む他の事項についても交渉を始める。

 つまり今回の合意は、FTAに関する要求を退けたようなふりをしつつ、当の要求を受け入れるものだったのです!

 わが国政府は、自国民を(実質的に)だましてでも、アメリカへの従属、もとへ協調を貫こうとしていると言わねばなりません。

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